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a violation of the rules



試験の中身を知っている、ということは、ドキドキ感が失われる代わりに楽ができるということだ。しかし私は策士ではないので知っているからなにがあるというわけでもない。あ、ちょっと悲しい。


2次試験後半…あたしのメニューは、スシよ!


試験の開始直後、誰もがわからないといったふうに首を傾げたり包丁を眺めたりしている風景を見て、私は優越感に浸っていた。
ああまるでボウガンの命中率がクラスで一番だったときのようだなんて昔のことを思い出しつつ、もくもくと先程手に入れたウナギなんたらを捌いていた。

そして、この後再試験があると知っていた私は、時が来るまで悠々とナマズヘビを食していましたとさ。うーん!美味しーい!


「紐無しバンジーなんてごめんだわ」

こんなときこそこれを使うべきじゃないですかと黒い手袋を装着して、私は躊躇うことなく飛び降りた。そしてすれ違い様に一瞬で卵を掴み、あとは飛び降りる際に崖の淵に引っ掛けておいた紐を伝ってするすると上へ登っていく。自分の指が切れてしまわないよう気をつけながら。

「実は卵2つ採ったのです。うふふ」

1つ茹で終わった後に、もう1つ茹で始めた私を面白そうに眺める視線が複数。正直胸糞悪いのだけれども、卵が美味しいので攻撃はいたしません。とくに目立ちたくは無いのです、と、もうすでに目立っているとも知らずに自分を納得させるのだった。
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