greedily
406番。渡されたプレートには間違いなくそう記してあった。
暇そうだったからプレゼント
わーいやったー
「んなわけあるかぁぁ!」
バシンッと床に真っ赤な文字で書かれたメモ紙をたたき付けた。プレゼントってなんだプレゼントって。
ふと周囲から微妙な視線を受けていることに気付き、それきり沈黙した。
誰だって"暇そうだったから"といってそんなことはしない。というよりできない。できてもしない。なのに何故彼女はできたのか?答えは単純明解超簡単ああこれ絶対正解だね。彼女が人類最強の請負人だからである。はいピンポンピンポーン!…泣ける……!
「しかも見たことあるこれ…あ、でも美味しいステーキ食べれたから許せるかも…あの金持ちどもにいいように使われるのも嫌だったしな…うん、許せる……でもなぁ」
私は策士じゃないから、こういうときどうしたらいいのかはわからない。何が最善かなんてわからないけれど、せめてもの情けか何かか。ハンターハンターの世界は、もしかしたら私にとっては都合のいい世界なのかもしれない。
私がメモを渋々拾った瞬間にジリリリと大音量がそこに響いたために、私は誰に話し掛けることも話し掛けられることもなく試験が始まってしまった。
なんだか損をした気分だ。
確かにあの二人が死んでしまったら、残るのは一姫だけか。
「だから最後に、会わせてくれたのか」
ため息をついて走り始めた。
先程から私に嫌がらせをしている男がいる。わざと私の前を走ったり、足を引っ掛けようとしたり。正直、欝陶しい。この湿原を走っているだけでもイライラするというのに。
…はっ!まさかこれが虐めというやつですか!?
…こんな馬鹿なことを考えてる場合じゃなかった。
その男に気を取られているうちに、騙されてしまったらしい。
周りの受験生達はほとんど…なんというか…、こう、にょろにょろしている、グロテスクな物体に飲み込まれてしまった。
な、なんだこいつ。
「助けてくれぇぇぇぇ!」
「…ホ、ホワイトデンジャラスサンダーウナギヘビ……!」
「なげぇよ…!……に、逃げるが勝ち!うん、それに限るね!」
ぼそぼそと呟いて、皆が走りさって行ったであろう方向へと向いた瞬間にその会話は聞こえた。
「ホワイトデンジャラスサンダーウナギヘビだって…!?」
「これが…!あの美味い刺身の…!?」
「信じられねぇ…!俺達はこんか凶暴なやつを食ってたのかよぉ…!」
その直後半泣きで逃げようとする男達を一気に丸呑みにしてしまったホワイトなんたら(以下ウナギヘビ)とナマエは睨み合っていた。
「あなた、美味しいんですってね。大人しく身体の一部を差し出してくれたら、生かしておいてあげるわよ?」
にやりと嫌らしい笑みを浮かべてゆっくりとウナギヘビへと歩みよっていった。