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countdown


突き飛ばされた。「今日は確認に来ただけなのに」派手に尻餅をついた私がぽつりと言うと、悲痛と絶望に顔を染め、屋上から慌てて立ち去る彼女から視線をそらした。



学校の準備室は私が思っていたより物も少なく、彼によって本当に必要最低限に留められているといった風に見えた。だからか、申し訳程度に部屋の隅に置かれた机と椅子がとても浮いて見える。
「いっちゃん」
「名前ちゃんは性格の悪いことをするね」
「でも、これで間違いないよ。私は彼女を、…だめだね。人を殺すのだってここまで躊躇ったことないのに。…ああ。大丈夫ですよ。依頼とは関係の無い話ですので、いっちゃんも、もう京都に戻っていいはずです」
ふう、と小さく息をつくと、疲れた?と水道水の入ったコップを差し出された。いっちゃんはどこでもそれなのか。
「いただきます。ええ、まあ。何かを変えるのって、とても勇気がいるんですね。逃げまわってたツケが今どっとおしよせてます」
「でもあれは、名前ちゃんに責任があるわけでもないからね。あえて言うならおまけみたいなものだよ」
「おまけが意味を持ったら、私の立場がありませんけど」
ぐいっと水道水を一気に飲み込んで、コップを近くの棚にカタ、と音をたてて置いた。
「これがあの時のおまけと言うのなら、もう少しだけいっちゃんにはいてもらいましょうか。あの姉妹はやることやって京都に帰ってしまいましたし」
「まぁ、まだ仕事は終わって無いしね」
「よし…がんばろうね!いっちゃん!」
ぱぁっと、いつも通りの作り物の笑顔を浮かべて、私は、覚悟を決めた。
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