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dust


体育座りでおとなしくフェンスにもたれていると、ギィっと錆びた音を立てて扉が開いた。
「こいつに何のようだ。」
「あなたたちは呼んでないよ。」
「一人で行かせるわけねぇだろ。」
「じゃあいいよ、別に、困るのは私じゃない。」
「なんか雰囲気違うのな。」
頬をかきながら苦笑いを浮かべる山本の言う通り、今の私は素のままだった。いやにおちついた様子でとつとつと話す私の表情は俯いていて見えないだろう。
「いつもの私がいい?あれ、あんまり好きじゃないんだよね。この歳になってまでバッカみたいじゃない?まぁそりゃ、そこの頃宵月匕も同じなわけだけど。」
「あ?」
「私は確認に来ただけ。頃宵月匕、あなたは酒を摂取した。そうでしょ?…もちろんただの酒じゃない」
「酒…?」
心底わからないとでもいう風に小首を傾げる彼女を見つめるために顔をあげると、ぐっと息をのむ音が聞こえた。…沢田だ。
「近づいてもいい?ここじゃちょっと遠く感じて。」
「脱いで。…靴と、カーディガンだけでいいわ。脱いで。」
「それだけ?なんなら、全部脱いであげましょうか。」
途端赤くなる思春期3人組はもう既に彼女の眼中にはないらしい。わかりやすい人は好きよ。彼女も含めてね。自然な面持ちで彼女の目の前に立つ。ワイシャツが風にあそばれて少し寒い。
「あ、ごみ、」
右手を彼女の頭に近づけた瞬間、パシッと勢いよく捕まれて、そのままギリギリと凄い力で握りしめられる。私の腕がミシミシと音を立てているが、私は笑みを浮かべ、彼女は苦々しい顔で俯いていて、ああ、まるで私が虐めているみたい。



「どうしたの?頭、触られたくないの?やだ、私、ごみをとろうと思っただけなのに。………別に、食べたいなんて思ったわけでもないのに。」
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