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怪我は消えるが痛いものは痛い。久しぶりのぬるい暴力は、私に痛覚というものを思い出させてくれた。私のよく知っている暴力というのは命を奪うことか痛みを与えつづけることが目的のもので、しかも前者にいたっては一瞬で終わるものだから、なんだかどうしてもぬるいというか、優しいものに感じる。その分、痛い。狂っていると感じるのはきっと、"普通"の感覚だろう。もう、そんな感覚はほとんどない。私の"普通"はどこかでお休み中だ。
「おっと…右足やられたのは初めてだからなぁ…時間かかるー」
そばに乱雑に散らばっているパンを拾い、ビニールに入れ直した。最近よく絡まれては暴力をふるわれる。これはきっと、彼女の人望、というやつなのだろう。人のことは言えないが、もう少しマシな人望をだな…と考えたところで、凄く冷たい目をした澪標姉妹が路地を覗いていた。いやん。
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