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「…」
「あっ!朝音ちゃん!名前ちゃん!あのねっ六道くん、が、…あ、なに、」
「どうなってんだよ…!これ!!なんで、春日が死んでんだよ…!」
「…て」
「は、」
「殺して」
「ふざけるなっ!」
「誰が、朝音ちゃんを…」
ぎゅっと私の手の中で握られた指輪に刻まれたイニシャルはR.O…つまり、置田楼のものだ。これはさっきまで朝音が持っていて、それで、それはつまり楼が、朝音に、
「私が悪いの。私が壊した。朝音を、私が…」
「俺らがお前を疑っていても春日はお前を信じ続けてた。…なのに、その春日を殺したっていうのかよ!!」
「朝音は朝長側だった…っ!全部聞いた…全部…」
「うそ、そんなこと…」
ずる、と、血と汗で滑り落ちた指輪が転がって行く。
「あ…」
「R.O…ルームメイトの置田楼さん、ね」
「ノア、知ってんのか」
「知り合いよ。まさか来てたなんてしらなかったけど…」
「朝音に殺された」
「嘘、」
「嘘なら朝音を殺してない!もう…いや…朝音は守りたかったのに…一人はいやなのに…結局、一人」
あのとき夢の中で私が伝えたかったことが、よくわかった。首を絞めるのは、羨望によってなんかじゃない。…哀れんだから。自分の新しい未来に絶望したから。だから、死のうとした。私が、本当は、死にたかったから。
私も朝音も悪夢を見てた。もうそれでいい。終わりにしよう。ねえ、朝音。最期はこの大嫌いな罪の枝で、断ち切ろう。

「さよならワンダーランド」
第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
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