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「楓です。よろしくお願いします」
「朝音だよ。よろしくね」
「名前…よろしく」
「楓ちゃんいい人そうでよかった!ねっ、名前ちゃん!」
「そうね」
「そ、そんなこと…」
ふわふわの、茶色の髪を揺らして照れたように笑う彼女は、確かに優しそうだ。懐かしい感じが、する。
「とりあえず早く出ようよ!時間制限もあるし」
「はい!」
「ところで…」
「はい?」
「なに?」
「これの脱出方法、わかる?」
「…」
「…」
『来たか童ども。さぁ主らよ。この「夢」に力を示せ。妾を倒すこと…それが唯一の道標となりえるのだ。さぁ…!』
「そう…言われても…」
「夢…ねぇ」
「あ、私知ってる!」
「本当?」
「日向くんに教えてもらったの。えっと、楓ちゃん、文字は?」
「あ、銃、です」
「じゃあそれで、あの…人?のお腹を攻撃するの!」
「はい!わかりました!」
パァン、と音が響いて彼女のお腹に風穴が開いた。こんなのでいいんだ、なんて、銃を持った彼女と微笑みあった瞬間、その微笑みは真っ二つになってしまった。血が、私の頭に降りかかる。ぬるっとしたその感触が好きではなくて、顔をしかめた。
「あは」
「…朝音?」
「本当は、何もしなければいいんだよ」
「え、」
『ふん…もう何もないのか…まぁいい。この聖域から去るがよい』
「ほら、ね?」
「じゃあ、どうして…」
「それは…」
ズルル…トプンッ…
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