long | ナノ


weapon


「くすくす。2対1のデスマッチだわ」
「くすくす。死ぬか負けを宣言するか」
「くすくす。その男が負けたうちの5時間短縮」
「くすくす。あなたが生き残ればの話だけどね」



「あいつら…プロだよ」
「…知ってるの?」
「知らないよ。でも気配でわかるし」
「へぇ、すごいじゃん。でもちょっと違うよ」
「知ってんの?」
「うん。知ってる。あいつら、クラスメートだったから」
「…マジ?」
「大マジ」
「…だったらあんた、できんの?」
「当然。気は進まないけどね、と…。預かっといてよ」
着ていたコートをキルアに投げつけて、帽子で顔を隠すようにくいっと鍔を下に下げた。にやりと笑んで振り返れば、ぽかんとした表情で立ち尽くしている。…マヌケっぽい。言わないけど。
「お、女ァ!?」
「…は?」
「クラピカじゃなくてお前にすりゃよかったぜ…」
「ねえ、バカでしょ?ていうか何、もしかして喧嘩売ってる?」
「…おい、喧嘩なら終わってからやれよ」
「そうだよ。向こうの人、ずっと待ってるよ」
「…あー、もう、いいからさっさと行けよなぁ!」
どん、と背中を押されて、半ば追い出されるように四角い足場に足を踏み入れた。
「くすくす。あんたも救われないのね。あんなに有名だったのに、こっちじゃ全くだもの」
「くすくす。なんでもいいから早く殺させてよ。ねぇ、ちゃんと覚悟、出来てるのかな?」
「あーあ。ほんとに気ぃ進まない。まったく…死ぬ覚悟をするのは、あんたらだっつうの」
ぎゅっと拳銃を握りしめて、深く息を吐いた。戦うのは好きじゃない。殺し合うのは好きじゃない。人に殺意を向けるのは、どうしても好きになれない。だからこその拳銃。しかしそれであっても、私が殺意を向けたその瞬間に、どうしても、弱いものいじめのようになってしまうのは、何故なのだろう。
「殺意は、向けないでいてあげる」
「くすくす。馬鹿にしてるの」
「くすくす。ふざけないでよ」
二人が同時に足に力を入れて体を沈めた瞬間、たぁん、と、空気を切り裂く音が響いたかと思えば、視界から消えたのは2人のうちの1人。もう一人は耳から血を流して後ろにゆっくりと倒れた。視界から消えた少女もその一瞬後にはこめかみを拳銃で撲られて、真っ赤な血をどくどくと流し倒れ伏していた。恐怖が滲んだ目を私に向けている。まだ、死んではいない。
「なんで、」
「馬鹿にしてないし、ふざけてないんだよ。私に一度も勝てたことなかったのにデスマッチなんて挑む勇気、凄いなって思った。だから、ジグザグじゃなくって、私の武器で相手をしたの」
「ちくしょう!」
「ちくしょう!ちくしょうちくしょうちくしょうちくしょうちくしょうちくしょうちくしょうちくしょうちくしょうちくしょうちくしょうちくしょうちくしょう!!どいつもこいつも見下しやがって!策士も闇突きもジグザグもてめぇも!なんなんだよ!てめぇら可笑しいんだよ!」
「そんなこと言われても困るっつーの…」
こいつでは話にならない。耳を押さえている方の胸倉を掴んで、微笑みながら銃をちらつかせると、諦めたようにため息をついて「降参」と呟いた。双子を対岸にずるずると片方ずつひきずって渡らせてから、頬をひきつらせたレオリオとトンパに苦笑いを浮かべて、帽子を目深にかぶりなおした。





---
最初、双子にはお亡くなりになっていただこうと思っていたのですが、やめて書き直したので可笑しいところがあるかも…です。
「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -