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She looks white.


「ひっさしぶりー!フィーロは相も変わらず元気で奥手なヘタレさんですかー?いやーエニスさんも大変だねー!………え、ちょっとやだ!本気にしないで!………怒ってるじゃん!………いやいや!………うん!元気元気!………そーそー!お願いがあるんだよね!………ん?………いやいやいやいや、そんなこと言わずにさ!私とフィーロの仲じゃない!ね?………あぁぁぁぁ!それは駄目!駄目ったら駄目!禁句!………うん?………もしかして最初のやつ根に持ってんの?………声がでかかった?え、うっそだぁ!いつもどおりじゃん!………え?何もう一回………用件を言えって?…うん!あのね、新聞社の電話番号知りたいなーって。あーやっぱ電話じゃなくて直接じゃないと駄目かな?………んー。やっぱり代わりに聞いといてよー!………フィーロなら大丈夫だよ!………え!いいの!?ありがとう!前言撤回は無しだからね!………きゃー大好きだよフィーロ!………うんうん、そんじゃあ言うよ、一字一句間違えないで覚えてね!…闇口壊常と彼女が関わる世界について。代価の情報は…不死の酒を、ナマエが持っている。じゃーそのうちお金はそっちに送るから!それまでツケといてよ!じゃーねーん!」

返事を聞かずに電話を切って、履歴を消す。ふぅ、と息をついて、この携帯の持ち主に微笑んだ。

「ありがとういっちゃん!そんでごめんね!なかなかに長い時間かかっちゃったよ!お礼といっちゃあなんだけど、なんでも一つだけいっちゃんの質問に答えてあげよう!」
「本当かい?うーん、それじゃあ、ナマエちゃんのスリーサイズなんてどうかな」
「ごめんねいっちゃん、それは計らないとわからないんだ!」
「…冗談だよ」
「うん、本当は知ってた!」
「それじゃあ、うん。フィーロって人について、とか」
「フィーロ・プロシェンツォ、実年齢的にはおじーさん。肉体年齢は18くらい。可愛い感じの童顔。可愛くて優しい彼女がいる。私の初恋の人。カモッラの幹部。」
「ちょっと待って。なんかいろいろと、聞きたいことが増えたんだけど」
「ぶぶー!駄目駄目!一つって約束!」
「…」
「じゃあいっちゃん、私は内職してきます!まったねー!」
「いってらっしゃい」

ひらひらと手をふっていっちゃん宅を出て、なるべく音を立てないように急いで自分の家に入った。ボストンバッグから液体の入ったマグカップサイズの瓶を取り出して中に入っている液体を一瞬見つめたあとすぐにショルダーバッグの中に突っ込んだ。他に持っている凶器などを瓶が割れないように工夫して入れていく。いつでも出れるように、いつでも、殺せるようにと。
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テーマ「人外ファンタジー」
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