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ridicule


「誰だ?×押したのは」
「ああ、スマンスマン。ハハハ」
「私も。…ダメだった?」
「ふざけんじゃねーぜ、おい」
「ふざけてないし…。誰に回答権がないのか知りたかっただけ、なんだけど」
「…ほぉ、オレかあんたってことか」
「そういうこと。次の設問で逆を押せば、どっちに回答権があるかわかるよね?」
「なるほどな」
「へぇ。あんた意外と頭いいんだな」
「…ちょっとひっかかるけど。まぁ、どーも」
かばんの中からぐみを出して口の中へ放り込んだ。少しだけ口の中で転がして、それから噛む。これはぐみを食べるときの癖で、どうしてもなおりそうにない。中が薄く茶色に染まった鞄を覗き込んだキルアが、不思議そうに私を見た。
「これ、血?」
「うん」
「誰の?」
「さぁ…これ、貰い物だから」
誰の血かなんて、聞く暇なかったし、聞くつもりもなかった。だって、これは多分…
「扉を出て…すぐまた設問かよ」
○と×が表示された電子盤を見てちらりとトンパに視線を移すと、私にだけ見えるように○を押したので、軽く頷いてから、私は×を押した。



「で、どっちだったの?」
「オレの方が反応するみたいだ。運がなかったな」
「ほんとにね。まぁ、他人任せはなれてるし、正直よかったかもね」
「ふーん」
だらだらと会話をつなげながら、かたい石の地面をすたすた歩いていく。と、急に開けた場所に出たとたん、ひゅう、と冷たい風が頬を撫でた。コートを着ているにもかかわらず、うすら寒いのは私だけだろうか。
「くすくす」
「くすくす」
異様な雰囲気を放つ双子を視界の隅に写したまま、私はぐみを口の中に放り込んで、転がした。
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