long | ナノ


あいたい、しにたい


「おっせぇよ!」

どん、と背中に音と重みが加わって、耐え切れなくてたたらを踏んだ。

「おーい名前ちゃん、ちゃんと支えてくれよー」
「重い」
「ぶっ殺すぞ」
「それはいや」
「…」
「…あ、」
「ん?」
「扉が黒い」
「あぁ…あれな。黒く染まった扉からはなんでか誰も出てこないんだよなぁ、」
「ごめん」
「何が?」
「探してくる」
「何を?」
「友達」
「いたんだ」
「うん」

ぱっと解放されて軽くなった体を動かしながら、きょろきょろと周囲を見渡して朝音を探すけれど、見当たらない。まさか、と顔を青くして、黒い扉に視線をやった瞬間、その黒い扉から光が出て、次に人を担いだ人が、出てきた。途端にざわめく生徒たちを無視して、(おそらく)死体を地面に降ろした。ここからは少し離れているからよくわからないけれど、たしか、アイラという女の子と、朝音が、彼に駆け寄っていった。

「もういいの?」
「うん」

戻ってきた私の頭を撫でる楼の顔はひどく穏やかだ。松葉杖をつく楼を支えながら、私たちは静かに校舎へと歩いて行った。

ああ、また、死にかけそうだ。
第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -