rest正座はまだ少し慣れない。足の痺れはもはや何も感じないところまできていた。しかし流石と言うべきか、目の前で座る少女は顔色一つ変えず、膝の上に置いた手をじっと見つめている。
「足崩してもいい?」
「駄目です」
駄目だそうです。
「なんで、」
ぽつりと出した言葉は小さい。微かに震えている姿は愛らしい。
「綺麗になったね、崩子」
「なんで、」
「…」
「なんであのときのままなんですか!なんであのとき!あのとき…、」
「…」
「なんで、生きてるんですか…」
「ごめんね」
緩く抱きしめた。けれど崩子は抱きしめ返してはくれなかった。仕方のないこと。いつか、崩子が抱きしめ返してくれるときを待とう。そのときには身長は崩子にぬかされているかもしれないけれど、それでも、何度拒絶されても、わたしは崩子を抱きしめよう。そして抱きしめ返してくれたなら、あの言葉を、言おう。
「いっちゃん、」
「うん?」
「これ、言い忘れてたんだけどね。ただいま。」
「うん。おかえり。」
微かに彼は微笑んで、言った。