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ぐっばい、ばいばい


息苦しい。喉が音を立てている。苦しい。喉を締め上げている。誰が?わからない。きつくきつく、締め上げている。喉が音を立てている。器官が圧迫されている。骨が軋む。何も見えない。苦しい。暗い。黒い。暗い。暗い。黒い。あぁ、死んでしまうわ。

「いきてた」

4つのひらがながばらばらになって空気に寒々しく響き、消える。腕の筋肉が痙攣していた。

「よかった」

なにがよかったのだろう。死ななかったことか。生きてたことか。わからない。わからない。いまいち現実味がなくて、けれど醒めれば急速に現実味を帯びる、多分、夢。私は、自分が嫌いなのだろうか。



ヒールが高めの、慣れないローファーを履いて立ち上がると、世界が少し違って見える。あの日の雪はもうとっくに溶けて、蒸発したり染み込んだりしていて跡形もない。灰々と乾いた地面が広がっている。朝音とは、あれから会っていない。

「いってきます」

誰もいない家に向かって、言った。



なにがよかったのだろう。死ななかったことか。生きてたことか。わからない。わからない。いまいち現実味がなくて、けれど醒めれば急速に現実味を帯びる、多分、夢。私は、本当は自分が大好きなのだろう。だから、自分を殺そうとする。でも、私は死にたくない。矛盾。
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