AM7:00。溜めこんでいたデスク仕事にようやく一区切りがつき、リビングに現れたリゾットの表情はやつれていた。
 寝不足故のふらふらと危ない足取りで、ソファへと向かう。
 その様子をじっと眺めていたプロシュートは、隣に腰掛けたリゾットが小さく欠伸をかみ殺すのを見届けると、読んでいた新聞を持ち上げた。
「ん」
「……ああ、すまないな」
 たったそれだけのやり取りを交わして、リゾットはプロシュートの膝の上に倒れこんだ。

「……………………」
 その一部始終を目撃してしまったペッシは無性にリビングから退出したい衝動に駆られ、ドアノブに手をかけた。
 すると扉の向こうには見慣れた顔ぶれが揃っていて、各々の微妙な表情から、彼らが当初疲弊した様子のリーダーを心配してその背中を見送った結果、自分と同じ光景を目にして、自分と同じような感想を持ったことを悟った。
(別に、悪いとは言わないけどさぁ……)
(入りずれぇ……)
(ま、寝不足ならしょうがねーよなぁー)
(……毛布とか持っていった方がいいのかな)
(ダメダメペッシ。ここは放っておくのがベネってもんさ)
(……部屋戻って寝直すか、ジェラート)
(そうだね)
 ぼそぼそとやり取りが交わされる中、そんな彼らに気づいたプロシュートは、ニヤリと笑ってハンドサインを送った。左手の親指を、こめかみにぐりぐりと押し付ける。その意味するところは、大体こんな感じである。

(馬に蹴られて死んじまえ)


 徐倫がやってたアレです。ナポリ式。

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