細く長い首に納まったチョーカーを外し、あらわになった喉仏を覆うように、手のひらをあてがう。
 傍から見れば首を絞めているように見えるかもしれないなと、頭の片隅で考えた。猟奇的で、どこかわざとらしい光景。
 そんな状況にも、プロシュートはされるがままだ。
 無抵抗なのをいいことに、空いた方の手を、襟元から服の中にもぐりこませる。わき腹から背中へと這う感覚がくすぐったいのか、腕の中のプロシュートは僅かに身をよじった。
 首にあてがった手の先でうごめく、自身の分身。噛んだ指の腹から落ちる血液が徐々に変質し、現れた鈍い金属光沢が、ゆっくりと首筋の皮膚を覆っていく。
「これで俺は、テメェのものってわけか」
 出来上がった継ぎ目のない首輪に触れて、プロシュートは口端をゆがめた。
「悪くないだろう」
 問えば、まるで高貴な猫のように、ゆっくりと双眸を細めたプロシュートの唇が触れる。
 ああ、悪くねぇな。背中に回った腕に引き寄せられ、吐息交じりの囁きが耳元をかすめた。確信犯の悪戯。
 その誘いに応じるように、お手製の首輪ごと、白い首筋に噛みつく。
 「テメエの方が犬じゃねえかよ」と、プロシュートは笑った。


(喰う喰われる)

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