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▼ 2


※兄貴が来てから二週間くらいの話。


「おい」
 背後からの声に驚いたイルーゾォは、思わず腕に抱えた鞄を落としそうになった。
「お、おおなんだギアッチョか。びっくりしたー」
 振り返ったイルーゾォに、ギアッチョはため息をつく。本人はただ驚いただけだろうが、イルーゾォの大げさな反応はまさに不審者だった。
 二人は某所にて質素に佇む小さな食堂、『プラータ』の常連である。
 かたや売れないフリーライター、かたや学生という一見結びつかない二人だが、昼食のたびに見かけるお互いに興味を持ち、いつしか気軽に言葉を交わす仲となった。今日もまた昼食を取ろうとやって来た二人が、店の前で鉢合わせたのである。
「入らねえのかよ」
 何故か立ち尽くすばかりで一向に店に入ろうとしないイルーゾォにギアッチョは問う。イルーゾォは困ったように頭を掻いた。
「そうしたい所なんだけどさ……なんか店の中から聞こえてこないか?」
「あぁ?」
「ほら、最近リゾットが新しいコックを雇っただろ。中からその人の声がしてさ……」
 イルーゾォに促され、ギアッチョは扉に耳を押し当てる。ゴトゴトと何かが揺れるような音の合間に、新しいコックの声がくぐもって聞こえた。
「もしかして喧嘩してるんじゃないかと思ってさ。それにほら、ドアノブのプレート返してないし。どうしようかなーって思ってたんだよ」
 イルーゾォの言葉のとおり、ノブにかかったプレートは『Close』のままになっている。ギアッチョは自分の腕に嵌まった腕時計を見た。あと5分もすれば正午になる。普段ならばとっくに開店している時間だというのに、二人は中で何をやっているのか。
「……行くぞ」
「え、帰るのか?」
「ちげぇよ」
 ギアッチョは店の裏手に回った。イルーゾォも戸惑いながらもそれに続く。
 半分壊れた金属製の柵を越えると、耕された畑に、隅に植えられたバラの樹が目に入った。
 ギアッチョは通学の為近くに越してきて以来、『プラータ』の常連であった。故にこういったことにはてんで疎いはずの店主の性分を知っていて、一見して世話の行き届いていると分かる庭の緑に違和感を覚える。
 しかし、だ。心の中で呟く。原因はなんとなく察しがついている。ギアッチョは鼻白んだ気分になりつつ足を進めた。
 勝手口までたどり着くと、店内から聞こえてくる声はボリュームを増した。やはり何か言い争っているようである。
 尻込みしたイルーゾォが、「今日は帰ろう」と口を開きかけたその時、ドスン、と一際重い音が店の中から聞こえた。
 ギアッチョはそれを、「重い荷物を地面に落とした音だ」と考えた。
 一方イルーゾォは何故か、「重い荷物よりもなお重い、例えるならば大柄な成人男性を一人、突き飛ばした音だ」と戦慄した。
 一見突飛に思えるイルーゾォを発想には理由がある。イルーゾォは常連のなかで一番最初にかの新入りと顔を合わせている。その時にリゾットに聞いたのだ。彼がいかににして新しいコックと出会ったのかを。そして同時に知ったのだ。かつて客に刃物を向けたと言うそのコックは、新たな雇い主であるリゾットに対しても、同様の行いができるということを。
 勝手口を開けようとするギアッチョを、イルーゾォは慌てて止めた。
「まてよ!行く気かっ!?」
「この調子じゃあいつまで待ってたって終わりそうにねえ。なにやってんだか知らねえがな、客が来てんだってわかりゃあ無視はできねえ筈だ」
「そりゃあそうだろうけどよ!危ないだろ!」
「危ない?何がだよ。くそメンドクセー講義まであんまり時間がねぇんだ。喧嘩でもなんでもメシの後に出来るだろ」
 何故か焦り出したイルーゾォに苛立ったギアッチョは、手首を掴む手を乱暴に振りほどき、ドアノブを引いた。
 すると、扉を向こう側から押し開く力が加わった。
 そのままギアッチョを押しのけるようにして扉は開き、現れたのはリゾットだった。
 リゾットはギアッチョの存在を認識すると驚愕の表情を見せた。その唇が何かを紡ぐ前に、殺しきれなかった勢いでギアッチョごと地面に倒れ込む。なんだかスローモーションに見えたよ、ウオオォォオ、ってさ、と後にイルーゾォは語る。
 瞬間、鋭い『何か』が空を切り、倒れ込んだリゾットの頭頂と、ギアッチョの頬を掠めた。

「なんだお前らか。まだ準備中だぜ」

 振りかぶっていた二本目の『包丁』をくるくるとエプロンに回し入れ、プロシュートは言った。


 イルーゾォとギアッチョが聞いた物音の正体は、「準備中、リゾットの手際の悪さに苛立ったプロシュートが投げた包丁に驚いたリゾットが転倒した」音だったらしい。
 イルーゾォは溜息をつく。人に刃物を投げつけるという、想像以上に信じがたい所業を目にした事実を思考の外に追いやろうとした。他人に躊躇いも無く凶器を向けられる人間が存在しているなんて、認めたくない。
 被害者であるリゾット、ギアッチョの二人はイルーゾォの隣で揃って神妙な顔をしている。二人の心を代弁するならば、どう頑張ってもフォローのしようがない身内の凶行を友人に見られてしまったという困惑と、理不尽な身の危険に対する怒りと言った所だろうか。
 カウンター席に並んで座る三人のほかに客は居らず、会話も無い店内にはプロシュートがキッチンで調理をする音のみが響いている。
 ひたすら続く沈黙にイルーゾォが尻をもそもそとさせ始めた頃、カランコロンと新たな来客を告げるカウベルの音が響いた。
 現れた顔ぶれに、イルーゾォは心の中でほっと胸を撫で下ろした。
「へえ、皆一緒なのか。珍しい」
「丁度そこで一緒になったんだ。メローネも居るぜ。今バイクとめてる」
 男もまたこの店の数少ない常連だった。名はホルマジオ。『プラータ』からは少し離れた商店街で小さな事務所を構えるしがない私立探偵である――とは、本人の自称であり、実際は何でも屋に近いことを生業にしている。本人は頑なに探偵であることを主張しているが、電球の交換は探偵の仕事なのかと聞けば大抵口を閉ざしてしまうので、本人も否定できない事実であるらしかった。
 その後ろから現れた強面だがどこか愛嬌のある男はペッシといい、ホルマジオの事務所で時々手伝いなどをしている若者である。なぜかプロシュートとはリゾットよりも前から知り合いであり、兄貴と呼んで慕っている。二人の出会いについては曰く語れば涙の感動ドラマがあるらしいのだが、いかんせんそれを拝聴するのに多大な時間を費やすらしいとのことで、いまだ耳を貸したことのある者はいなかった。
 続けて黒と白、両極端な配色の男が二人現れる。ソルベとジェラートは謎の多い二人組だった。彼らはある時ふらりと店に現れたと思ったら、二人の間の隙間を可能な限り排除した絶妙な体位を取りつつ一つの料理をシェアして食べ合うというきわめて奇怪な光景を周囲に見せつけた。
 二人は当然と言った顔をしていたが、周囲にとっては見て見ぬふりをすることはあまりに困難であり、「もしかしてツッコミ待ちなのか」と誰もがチラチラと視線を迷わせたものである。一度言葉を交わせば意外と良識のある男たちであるのがわかったのと、他者への干渉が控えめで基本的に二人の世界なこともあって、店の風景の一部として馴染むのに以外と時間はかからなかった。ちなみに二人の関係はいまだ不明である。深く追求してはいけないという雰囲気を二人の目力が作り出していた。
 ホルマジオとペッシはカウンター席の様子に何事かとやってくる。ソルベとジェラートはいつも通り一番隅のテーブルにつくと、そこに置かれた見慣れない臙脂色のメニュー表に揃って首を傾げていた。
「出来たぜ、っと、今度は四人分……いや、三人分、だったか?」
「あ、あともう一人来るってさ」
「じゃあ四人分だな。少し時間がかかるぜ。コイツがもう少し使える男だったら話は別だったんだがな」
 二皿の料理を手に新たな顔ぶれを確かめたプロシュートは、そう言ってリゾットを顎で指した。仮にも店主に対してのぞんざいな言葉に、リゾットの顔は眉を顰める。
「いままでは俺が一人でこの店の料理を賄ってたんだぞ」
「冷凍のゴミを揚げて出しただけのモンは料理って言わねえんだよ。俺が言わせねえ。正直な話、あんなクソ飯でどうやってこれまでやってこれたんだ?○ックの方がまだマシだろ」
 器用なもので次の準備に手を動かしつつ嘲るように鼻で笑ったプロシュートに、リゾットが食い下がり、口喧嘩が始まる。そんな二人の隣で、ギアッチョとイルーゾォは目の前に置かれた料理に視線を下ろした。ホルマジオとペッシも二人の後ろから覗き込む。
 木製のトレイの上、小ぶりなプレートの中には、キャベツとキノコのラザニアが、焦げたチーズのいい香りを立ち上らせていた。
 フォークで隅を切り出すと、層になったラザニアの隙間からひき肉たっぷりのソースがとろりと零れ落ちる。誰のものと知れぬ喉がなり、ほほーと感嘆の溜息が零れた。自分が目の前にしているのは、文句の付けどころのない『上等の料理』である、と4人の心は一致する。コック曰くジャンクフードにも劣るという店の料理に目の慣れた常連だからこその感動がそこにはあった。
 ギアッチョとイルーゾォは躊躇わず目の前のラザニアを口に運んだ。期待を裏切らない美味が舌の上に広がっていく。「うまいな」「うまい」と頷きあう彼らを、背後の二人は羨ましそうに見ていた。
 そんな四人の背後に、忍び寄る男が一人。
 妙に体のラインを強調する黒いライダースーツを身に纏ったその男の表情は、不機嫌そのものだった。その視線の先には、すっかり料理に夢中なギアッチョの背中がある。
 不穏な気配に一人気が付いたペッシが思わずげ、と声を上げそうになったのを、男の長い人差し指が制する。どこか憎たらしい男のウィンクに言葉を失ったペッシは、漏らしかけた溜息を飲み込んで、そっと視線を落とした。目の前で揺れるふわふわとした水色の巻き毛へ、同情を込めて。
「ギ〜〜〜〜アッチョ!!」
「ふぐッ!?」
 丁度ラザニアを頬張っていたギアッチョの背中を、男の渾身のハグが襲った。
 あわや吹き出すのをなんとか堪えたギアッチョは、次の瞬間には頭に血が上り、半ば無意識に手の中のフォークを男の顔面に突き立てていた。男の眼前にまで迫った切っ先を止めたのは、傍らに立っていたホルマジオである。安堵の溜息をつくホルマジオを余所に、ギアッチョは血走った目で男を睨んだ。
「テメッふざけんなよコノヤロウ!!」
「ふざけてんのはギアッチョの方だろ。良い店見つけたから今日はそこで食べようって約束したのに、連絡もしないでコッチ来るんだから」
「俺は行かねえって言っただろうが!」
「ギアッチョに拒否権はありませーん聞こえませーん」
「この、」
「まあまあ」
「どうどう」
 イルーゾォとホルマジオが今にも男に殴りかからんとするギアッチョを押さえ込む。そんな様子をニコニコ眺めつつ、男はイルーゾォの隣に腰掛けた。
 男の名前はメローネといい、常連の中ではホルマジオと並ぶ古株である。『ある種の店でバーテンダーのようなものをやっている』とは本人の談だが、実際にメローネの働く店を知っているのは何故かリゾットだけで、あとは何処に住んでいるのかすら明かさない謎の人物である。
 彼は何故か後から常連となったギアッチョの事を妙に可愛がっており、なにかとちょっかいを掛けていた。そのため二人で居る事は多いのだが、ギアッチョの反応からして仲がいいという訳では無いようである。しかしメローネは気にせず構い倒し、それをギアッチョは嫌がり、最終的にメローネが押し勝つというのが常連の間ではいつもの流れとなっていた。
「うーん、お腹空いたなあ〜。あ、なにコレ」
 メローネが指差したのは、ラザニアと共に出されたサラダの小鉢だった。そのてっぺんに載ったプチトマトの飾り切りをつまみ上げる。赤いバラを象ったそれをしげしげと眺めると、ひょいと口の中に放り込んだ。あ、とイルーゾォが声を上げるが遅く、メローネは赤い果実を嚥下して、喉仏が上下した。そのまま流れるようにお冷やも飲み干し、メローネはうんうんと知ったる顔でうなずいた。
「コレ、凍らせてあるんだね。シャリシャリしてておもしろい……って、なんだか笑っちゃうくらい小洒落てるけど、いつものチープな料理はどうしたの?」
「リゾットが新しいシェフを雇ったんだ。これはその人が作った料理。メローネは今日が初めてなんだな」
「色々忙しくってしばらくこっち来なかったからなー。あ、あの人がそうなの」
「プロシュート兄貴っすよ」
 何故か胸を張るペッシの言葉に、ふーん、と頬杖をついたメローネは厨房に立つプロシュートを眺めた。メローネの視線に気が付いたプロシュートもちらりと目を向ける。しばし視線が交錯し、先にプロシュートが目を逸らした。構っていられないということなのだろう。つれない様子にメローネは怪しく笑った。
「へえ、随分美人だ」
「美人って……。男に使う言葉じゃないだろ」
「『美しい』『人』なんだから何も間違っちゃいないよ。しっかしリゾットはメンクイだなあ。恋人も美人だし」
 『恋人』の単語にイルーゾォはそっと声を潜める。
「メローネ、その話はちょっと……」
「え、なに、もしかしてリゾット別れたの?マジ?喜んでいい?」
「出来たぞ」
 メローネは何故か目を輝かせてイルーゾォの肩を掴む。その様子に訝しげな目線を遣りつつ現れたプロシュートは、先ほどと同じメニューのプレートを三人分テーブルに置いた。待ってましたとばかりにホルマジオとペッシがあつあつのラザニアを頬張り、幸せそうな顔で頷きあう。
 どうやら言い争いの決着はついたようで、リゾット――不服そうな表情を見る限り、言い負かされたのは彼の様だ――は同じプレートを持ってソルベとジェラートの元へと向かう。その後姿を見送り、そしてプロシュートに視線を戻して、メローネは怪しく笑った。
「もしかしてさ、リゾットの新恋人ってことかな」
「……頭湧いてんのか、コイツ」
 グッとプロシュートの眉が不快に歪む。ギアッチョはスプーンを空になったプレートに放ると、メローネに冷めた視線を向けた。
「その馬鹿はいつもそんなだぜ。ケッ、なんだよそのにやけた顔。こっち見んな死ね」
「ギアッチョひどい」

「……おいしいね」
「え?」
「いつものリゾットの料理も俺は好きだったけど、新しいシェフの料理は本当にすごいね。一流店で働いていただけのことはある」
 料理を口にした途端饒舌になったジェラートに、リゾットはしばし目を瞬かせ、どういうことかと隣のソルベに目を向けた。ソルベは肩を竦める。
「実はかなり舌が肥えてんだよ、コイツ。こう見えて結構いい家の出なんだぜ」
 そう言ってソルベが口にした名前に、リゾットは目を見開いた。時代が時代ならな貴族と呼ばれる家系である。あっという間に空になった皿に向かって何事かをぶつぶつと呟いているジェラートをマジマジと見、リゾットは恐る恐る口を開く。
「……何故、そんな男が俺の店に?」
「さてね。俺はコイツのことなら何でも知ってるけどな、頭の中まではわかんねえよ。特に好みはマジでわからん。側溝のドブネズミをペットにしようとするくらいだからな」
 ソルベの言葉に他意はないのだろうが、リゾットはいささか傷ついた。
(俺の料理はドブネズミだったのか……?)
 確かに手抜きではあったかもしれないが、常連は皆文句も言わず食べていたのに……。傷心のリゾットの袖を、ジェラートがくいくいと引いた。
「これはなに?」
「ああそれは……」
 甘いもの好きだというジェラートの為にプロシュートが用意した小さなパフェだった。コーンフレークとクラッシュゼリーが成す層の上に、甘い生クリームとイチゴが載せられている。「ありあわせだけど、ま、オマケだ」とはプロシュートの言である。
 リゾットの説明が終わらないうちに、ジェラートはパフェを掻き込んだ。その勢いの良さはもはや飲み干すのに近く、子犬が器のミルクを猛烈に嘗め回すのに似ていた。リゾットは若干引いている。
 これ以上ないほど器の中身を綺麗に浚ったあと、ジェラートは再びリゾットを見た。無表情だった。しかし隣のソルベは驚いている。「こんなに目を輝かせたジェラートは見たことがねえ……」と感極まった様子だった。一人分しか用意されていない料理の、自分が食べるはずだった分まで食べられてしまったことには気づいていないようである。
「俺さ、あの人すっげえ好き。ホント」
「そ、そうか。伝えておこう」
 今度はド直球の告白である。戸惑うリゾットに構わずジェラートは興奮したように捲し立てる。
「この店さ、きっと繁盛するよ。大儲けできると思う。そうなったらリゾットはどうするの?もっとスタッフを雇って、経営に専念するカンジになるのかな」
 ジェラートの言葉に、リゾットは動揺した。想像だにしていなかったのである。
 リゾットは賑わっているキッチンに目を向けた。
 食事を終えた常連たちが、プロシュートに向かって口々に何かを言っている。どうやら話題は店のメニューについてらしく、時節やジャンルすら考慮に入れない自分勝手なリクエストをぶつけてはプロシュートの眉間の皺を濃くしているようだった。
 新しいシェフは想像以上にこの店の空気に馴染んでいるようで、リゾットは目を細めた。
 店が繁盛することを望んだことはただの一度もなかった。慣れ親しんだ自分の店に、いつもの常連たち。そんな呼吸のしやすい空間がありさえすればそれでいいと思っていた。
 ただ今は、もはや網膜にまで染みついたその光景の中心に、あの男が、プロシュートが居てくれればいいと、リゾットは望んでいる。
「……それもいいかもしれないな」
 その呟きは、常連たちが終ぞ聞いたことの無いような温かさと穏やかさがあった。ソルベとジェラートはそっと顔を見合わせる。リゾットは気づかず目を伏せる。
 少しずつ、ゆっくりと、しかし確実に、明るい方へと変わっていく日常。吹き溜まりのようだった未来が急速に広がっていく感覚が胸を擽る。
 いいものだな、とリゾットは微かに笑んだ。



 もはやパロじゃない。もうちょっとだけ続くかも(続かないかも)
20140628up
 続きますた
20141006追記

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