一万ヒット記念小説 | ナノ



上級生となれば下級生の時には無かった気持ちの落ち着き、そして余裕と言う物が垣間見えてくる。
結果、その余裕の向こう側に見える気持ちの整理+今までの自身−女としての実力=(イコール)により生み出される答えはうふふキャハハな『恋』であった。

まぁ、ね?
丁度年頃の女の子だし、しかも恋を連想させる桃色の装束を着ているのだから、恋するのダメダメ。みんな、恋はするな!ノンノン!!
と、言うことを聞くなと言う方が無理な話だ。忍たま達から見れば三禁に当てはまる=「色」「欲」の女の子達。故に自重をしているのだろう。
だが、だからと言ってやって良いことと悪い事がある!

いま、こうやって私の元に訪れた可愛い後輩達は、涙を拭う姿を見せている。

もう我慢出来ない!

私は勢いよく立ち上がれば、後輩達が名を呼ぶ。


『大丈夫。ちょっとした制裁をね?』


私は一冊のノートと白いそれを持ち、部屋から出て行った。












お前等全員、××だ!!!











私は今まで収集してきたデータが詰まるそれを、捲りながら廊下の上を進む。
隣を賑やかなに走り去る後輩達が、こんにちは!と元気に挨拶する中、勿論私は忘れる事なくちゃんと返す。

ワーイと去っていく可愛い後輩達の背を眺め、昔はあんなに可愛かったのに何をどう間違えればああなってしまうのか。その過程を知りたい位だ。


今となってはもう遅い話しだが、今からでも修正出来る所ぐらい有るだろう。
そこを少しでも直してくれれば、可愛いくのたまの後輩達が涙を流さずに済んだであろう。
そう思えば思う程に、彼等に対しての怒りは増し静まる気配すら感じられない。

ああ、早く彼等に制裁を!!

そんな事を考えながら歩いて居ると、向こうから見覚えのある姿が見えてきた。
何だ、アイツ等か。
着ている制服の様子からすると、どうやら郊外への演習に出ていたのだろう。着ている制服が酷く泥まみれの為、一目で分かってしまった。
さーて、サッサとターゲットとなる彼等を……。

って、





『そぉぉい!!』

「くぼぉ!!」


今まさに私の横を何食わぬ顔で過ぎ去ろうとして居た彼等。そんな彼等へと手に持って居たそれ、白い色合いをする柔らかなそれを遠慮なく顔面へと叩きつけて見せた。
顔面にそれを食らった彼は避ける事も出来ず、スローモーションを見せるかの様に倒れて行く。その傍らでは兵助?!と慌ただしく声を荒げる焼きそば。甘い!貴様もターゲットの一人なんだよハハン!

私は隙を作る事無く隣に居る焼きそばに同様の物を叩きつけてる。

そしてバタンと先に倒れた豆腐に続く様に焼きそばも倒れ込んだ。


「兵助?!八左ヱ門?!」


遠くから、ギャアア!!と悲鳴を上げながら走り寄る影3つ。
彼等はピクピクと動く2人に、まだ息が有ると安堵するも直ぐに私へと抗議の声を上げた。



「名前先輩!いきなり何してるんすか?!」

『えーと、豆腐の死因はくの玉の告白を25回断った事だと推測される』

「はい?」

『んで、竹谷は飼育中の狼達を脱走し野放しにした時間が長く、くの玉長屋に紛れ込んで一騒動あった為と見られる』

私は手元に有るノートを捲り、後輩である五年生達は不思議そうな顔つきで此方を見上げる。しかし、そんな事構わずにペラペラと捲れば白いページにかかれた名前。

アウチ!ガッテム!私とした事が?!
お前もターゲットだったのか?!2人だけだと思っていたがやはりそう簡単には終わらないらしい。

私はすぐさまノートをしまい込み、白いそれへと持ち出せば案の定これからの先を理解した尾浜と三郎が顔を真っ青にする。
甘かったな。逃げるのならば先に逃げて居れば良かったものを!!

『チェストォォ!』

「ぶふ!」「ぐはぁ!」

白いそれを同時に受けた2人は、既に倒れている豆腐と焼きそばへ折り重なる様に倒れた。

「先輩!なんて事を!!四人が先輩に何かしたんですか?!」

『残念!貴様もだ不破雷蔵!!』

「っでぇぇ!!ブハン!!」



最後に不破雷蔵が四人の上に折り重なった所で、私の任務は此処で終了した。
やったよみんな!先輩頑張ったよ可愛い後輩達よ!お前たちの為に先輩は「名前!お前何遣ってるんだよ?!」ちょっと!人が勝利の栄光に浸って居ると言うのに!
誰だ邪魔をする奴は?!と振り返れば、五年生同様に泥まみれの六年生達が現れた。
様子から見て、どうやら五年生六年生の合同授業だったらしい。


ん?何だ?このフラグは?



「おいおい、これ名前の仕業か?」

『いいえ、ケフィ○です』

「時代背景を考えろ!」

全くお前は……。そう言いながら、食満野郎は大丈夫か?と倒れる五年生達を起きあがらせる。
仕方ないだろう?此奴等はくの玉達を泣かせた罪が有るのだ。それに対する制裁は必要であり……、と、其処で私はどうも、この居たたまれないフラグに疑問を持ちしまっていたノートを捲る。
それを不思議そうな顔つきで覗き込む小平太と文次朗の2人達しかし気にしない。だが、とあるページでピタリと止まれば私よりも先にそれを文次朗が口にした。


「あ?何で俺達の名前が入ってるんだ?」

「本当だ」

白いページにかかれる文章に、小平太はなぁなぁ!何でだ?と、まるでボール遊びをして欲しい様な犬の仕草で私を揺らす。
しかし、その最中、文次朗だけが自身の名前の下にある文面を目で追って居るが、目の前で白塗り状態の五年生と利害が一致したらしくヤバい。と冷や汗を掻いた。

勿論、くの玉一優秀なこの私がそれを見逃す訳が無い。
文次朗がすぐさま此処から離れようとした寸前で、私は白いそれを遠慮無く顔面に叩きつけた。

ぱあぁぁん!!

と、清々しい音を立てたそれは文次朗の悲鳴をかき消し、その風圧で彼を後ろへと倒した。


「もも文次朗ぉぉ?!」

伊作が驚き、彼へと近寄るも私は怯まず伊作へと投げる。
不運委員長の肩書きは伊達では無いらしく、何故か彼は二枚重ねに成っていたそれを真正面から浴びて転倒した。

流石に友人2人の惨事を目の当たりにすれば、残りの四人は警戒態勢に入る。
しかし、そんな事でいちいち怯んでじゃくの玉六年生なんて勤まっちゃ居られない。



「名前!いきなり何をするんだ?!」

『ええい黙らっしゃい!この集団犯罪者共め!お前の悪事の目撃者はいっぱい居るんだ!
サッサと自主しないと、私の両手が火を吹くぞ?!』

「火を吹く所か、それただの白いパイじゃ……」

『去ね!』

「ゴフン!!」


貴様の適切なツッコミなんていらないんだよアヒル野郎め!誰がカメラ目線で解説しろって?お前は後一年位放送コードに引っかかって居れば良かったものを!


「止めろ名前!私達が一体何をしたと言うのだ?!」

『白を切るつもりか立花?お前のネタも上がって居るんだよ色白畜生!』

「最後のは妬みか?名前?」

『お黙り仙子ちゃん!証言はいくつも有るんだよ!くの玉を誑かして化粧に使う道具をただで入手しているとか!仙子ちゃんになると美人過ぎてくの玉達が化粧する意欲が削がれるとね!』

「待て名前!確かにくの玉達に使わない化粧を貰った事は有るが、最後のそれは……」

『美しいだけでも罪何だよ仙子ちゃん!!』

そう言った私は慌てふためく立花に、他の奴ら同様にパイをぶつければ気持ちよい位に後ろへとダイブ。
ビタン!と言う音をBGMを後ろに残し無傷である三人へと振り向けば、ひくりと口端が歪んだのがわかった。


「私達、名前に何かしたか?!」

『いや、私では無くむしろくの玉の後輩達に』

「な!?俺達がいつくの玉にちょっかいを出したんだよ?!」


文次朗の傍らでは三郎では有るまい。とボソボソと呟く長次。
それもそうだ。
理由も分からず、この世とはお別れはしたくないだろう。
私は自身の中にある慈悲深い心の為に、再びノートをめくって見せた。


『今其処に倒れている三郎は、同学年のくの玉長屋へとイタズラしに言った証言がある。
しかも不破雷蔵の姿で褌一丁で廊下を駆け抜けた為、気分を害しては泣いた子まで居るんだよね。コレが』

「では、尾浜と不破は?」

『尾浜はレギュラー入りして人気が上がり、競争率が倍増しになってしまったファン倶楽部からの苦情、そして、不破は彼を見る度に褌一丁の姿が食事中のくの玉の脳裏に過ぎる。と言う証言』

「ちょ!待て待て?!何だ?!その証言!可笑しく無いか?!」


しかし、それでも彼等が可愛い後輩達を泣かせて居たのは事実であり、紛れもない真実でもあるのだ。


『立花は先ほどの通りであり、伊作はイケメンと不運体質のギャップが神経圧迫の要因になる為、えーと、食満はその面で保父さんとか破壊力有りすぎて授業に手が付かない。だってさ』

「それ全部、くの玉の偏見じゃねぇか?!」

『黙りなさい!このギンギン野郎が!お前の証言も上がってるんだ!毎度毎度、夜中にギンギン鳴きやがって!寝不足のくの玉達が居る事を知らないだろ?!
お前は真夏の蜩か?!蝉は黙って日中に鳴いていやがれ!!』

言わずもがな、文次朗はパイをその年齢不詳の顔で受け止める。
さぁ、残りはあと2人!
不適な笑みを浮かべれば、先ほどまでの威勢はどこへやら。
ガタガタと震える小平太と、目で止めろ。訴えてくる長次の姿が合った。


「名前!私はバレーボールで障子を壊した等とはともなく、長次がくの玉に何かする訳無いだろう?!」

『ほほう、やはり自覚はあったか小平太よ?仕方ない。特別に長次の証言も教えて遣るよ』

「……手を、出した覚えは……無い」

『そう。むしろお前は図書室で手の届かないくの玉の為に、本をとってくれた』

「だったら!」



だが、それがいけなかったのだよ!長次!





『しかしな長次、貴様は語りすぎたのだよ』

「「………は?」」




『暗黙の背中で語ったのが貴様の死因だ!』



2人揃っての阿呆面に、私がパイを投げない訳が無い。
故に瞬時に投げられた2つのパイは起動を逸らす事なく、ものの見事に顔面にペシャリ!

2人が一緒に倒れた所で、私のミッションは無事コンプリート!
何とも言えない達成感が私の体を支配し、此処はお決まりの台詞を吐かねばならないだろう。
たまたま近くに居た伊作の上に片足乗せれば、下からぐぇ!と悲鳴を上げる。

しかし私は気にせず、決めポーズを決めて今や屍と化した彼等へと指差した!

















お前等全員、有罪だ!!


後に、涙を流していた可愛い後輩達が駆け寄って来た。
ありがとうございます!先輩!と和気あいあいとしている背中で、一部始終を見ていた土井先生に叱られるまで後2秒の話しだった。





















100826
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