謳えない鹿2 | ナノ



 

グロ注意




ある件を調べていた。






それは人であり、どこの村の出身で今はどうしてるのかと言う内容だった。

人探しなんて内容はよくある為、直ぐに済むだろうと思っていた。だが、今回の件はそうは行かなかった。




依頼人が殺された。




前金だと支払われたその額は大金で、これで仕事が済んだ時は三倍ものの報酬をやろうと言ったその男は、私の足元で焼けた死体と変わり果てている。
焼き上げられた赤い肉塊からは煤けた骨が飛び出し、ポカンと開かれた口の中には歯の一本もない。だが、この焼死体から少し離れた先には黒く乾いた血のりがついた何本もの歯が棄てられている。

同様に目玉はくり抜かれ、それらしき物が焼け後として残る。

鼻に着く異臭は目の前で変わり果てた焼死体により更に気分を害する。
そして瞬時に目眩が私を襲いかかり、私は咄嗟に手で自身の口と鼻を押さえ込み後ろへと下がった。

気持ち悪くて酷く吐き気が増し、今すぐ此処から出て行かなければならないと察した。

それは何故か?

依頼人は殺されたのだ。
誰かの手により。そしてその誰かの手により殺された方法が、肉体を焼き上げると言う方法。
水死や銃殺と違い焼死と言う方法は、苦し悶えながら体を焼き上げる炎の音を聞かなければならい。
自身の皮膚、髪の毛、爪、細胞、筋肉そして骨。
燃えながらそれらを聞き、じわりじわりと死の淵に追いやられる中に感じるのは熱と痛み。
ならば、いっそのこと刀で突き抜けて欲しいと願うも、それを願う手段が無ければ逝く迄に永遠と燃え続けなければ成らない。

そしてそれを味わいながら死んだ依頼人。

歯が無い所を見ると、どうやら依頼人は拷問を受けながら殺されたらしい。
舌や歯がなくとも首さえ有ればこちらからの問いに肯定と否定の2つで答えやすい。余計なことを言う必要も無くなり、何より痛みにより相手に服従せざる終えなくなる。
しかし、この依頼人は最終的には殺されただろう。
どれだけ相手が欲していた情報を持っていたとしても、歯を全て抜ききっている辺り生きる事は前提ではないと言う事。

それを思えば、私はこの場に長いしてはいけない。
もしかしたらこの場にまだ居る可能性だってある。

私は前金だと支払われた大金を置き、その場から逃げる様に飛び出した。















101001

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