謳えない鹿2 | ナノ



 



どうやればそうなって、どうすればそうなるのか?
色々いっぱいいっぱいに考えて頭が痛くなったがそれでも考えて、そして出された結論そして答えが『それ』だった。
確かに今思えばそれはその通りであり、ああ、なんだ。
こうすれば良かったのか。なんて、少し遅くながらもやっと分かった気がした。

何でこんな簡単な事に気付かなかったんだろう?と、そう思えばなんだか自身が情けなく思えた。

だってそうだろ?


初めっからこうすれば、彼等はそう成らずに済んだ訳だし、それに巻き込まれてしまった関係の無い彼等迄にそうしてしまった。

今まで向こうの学園で培って来た経験は、どうやらこう言った場合には通用しない所か意味が無いと知る。

そう考えれば考える程に、馬鹿だな。なんて、唇からこぼれ落ちてしまいそうに成る。

馬鹿過ぎて馬鹿過ぎて、阿呆らしい。

勿論それを示すのは今にも零れそうな台詞を紡ぐ自身であり、指先が酷く圧迫されているのが分かる。


零れる台詞を消す様に変わりに吐き出したのは重いため息。
それはあまりにも重く、空へと溶ける所が下へ下へと沈んで行く。



閉じていた瞼が開いた所で、瞳に映り込んだ世界は長く狭苦しいものだ。
同時に胸をギュッと締め付けるそれと同様の世界に苛立ちを覚えた自身は、懐から兵糧丸を取り出した。




















100922

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現58-総86

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