謳えない鹿2 | ナノ



 

歩を進めれば進める程に世界はとある色へと染まりゆく。
遠くから此処まで響き渡るのは友達の声だ。
耳を澄ませど友達が何を言っているのかが分からないはとりあえず無視する事にした。
足元に広がるのは綺麗な花びらで、この花の名前を呟けばどこからともなく風が吹き荒れる。同時にの着ている制服の袖を揺らし、パタパタとどこか可愛らしい音を耳が拾う。
僅かに張った浅い水はの足を濡らし、水中に沈む花を更に美しい輝きへと飾りたてる。
それはキラキラしていて凄く綺麗だった。
はその美しさに思考が釣られてしまい、その場にしゃがみ込んでは両手ですくい上げる。
両手と言う一時的な幼い世界の中に留まる池と花びら。まるで箱庭の様だと脳裏をかすめた。
すると、遠くで再び声が上がった。


しゃがみ込んでいたはすくい上げたまま立ち上がり、声がした方へと視線を向ける。すると、同時にその反対側からまた声が上がる。













『……………あれ?』


























世界はまだ白いまま。だった筈だ。

しかし、足から感じる僅かな違和感により、の意識が其方へと向けられていくのが分かった。
































100901

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現49-総86

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