謳えない鹿2 | ナノ



 

ならばどうする?

どうすれば彼は許してくれるのだろうか?

否、許してはくれないのかも知れない。
彼の言うとおりに亮はは組の皆を傷付け、突き放した。
ほんわかは組と言えど彼らだって人間である。
堪忍袋と言う物が存在するのは当たり前で、それを切れさせたのは亮自身。

昨晩、不破雷蔵と交わした言葉の内容が脳裏をよぎった。
は組に居ない。
暖かなその輪から外され、決して向き合う事なく永遠と背を向けながらこれからの学園を歩む。
それがどれほど胸に重く突き刺さるものかは計り知れない恐怖だ。

だが、それを招いた自身が愚かであり浅はかであるのは間違いは無く。
そう言った結末になろうと逆に構わない。

亮はそう胸に抱いた。







































「……言って見ろ」

『!』












重く重く、のしかかった空間の中に溶け込んで言った台詞は、誰でもない目の前の存在からだった。
それに驚いた亮は塞いでいた顔をすぐさま上げれば、長細い視界の先に此方をジッと見つめる彼の顔があったのだ。
彼は亮から視線を外す事をせず、ただただ真っ直ぐ閉ざされた薄桜色の向こうで輝く瞳へとゆっくり紡いだ。




「迷惑じゃない。」
(俺達が勝手にした事なんだ)

「遠慮するな。」
(普通友達が友達に遠慮するか?)

「勝手に悩むな。」
(一つしか出されない答えなんかより)

「一人で決めつけるな。」
(様々な考えから、一緒に答えを見付けよう)


そして
(それが)








「 甘えてくれ 」
(は組。なんだからな!)









重く凍てついていた冷気がいつの間にか消えていた。
ただ、其処にあるのは普段通りに笑みを浮かべる顔があり、変わらない彼の言葉に亮の胸がグッと押しつぶされる。
息が出来ない位に苦しく、だけど同時に凄く暖かく唇が震えているのが分かった。
でも、それがバレてしまうのがなんだか恥ずかしく、亮は隠す様に言葉を発した。
























『勉強、教えて下さい!』











































101003

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