百合籠 | ナノ


六年生からの虐め。
それは只単に私自身が女みたいな顔をしていて、私自身が女みたいな肌の色をしていたからだと最近になって分かった。
前々から廊下ですれ違う六年生の目が居心地悪くて、私に聞こえる様な内容の会話を少し遠くで交わされる。そして、それから直接私の元へとやって来ては、お前本当に忍たまか?なんて一方的に言われる事ばかりだった。
でも、それくらいなら我慢は出来ていた。私だって忍者の卵とはいえ、これ位の精神的な虐めを耐える事なんて問題無かったんだ。

だけど、ある日。私はその六年生達に制服を破り棄てられた。そして何も着ていない状態で茂みの中に野放しにされる。

この時ばかりは泣いた。
誰も来ない場所だったから、泣いたって誰も来やしないし困らせたりする訳もない。だけど、それ以上にどうやら胸の中は既にいっぱいいっぱいで居て、我慢できなかったらしく制服を棄てられたきっかけで泣く事を後押ししたみたい。

無様で間抜けでカッコ悪く。それ以上に六年生の先輩に反撃一つも出来やしなかった自身が情けなかった。

だけど、そんな私の目の前に現れた野沢は、不格好である私を助けてくれた。あの時は本当に本当に嬉しくて、悔しさで流す涙と違う涙が私の頬を伝わった。

それをきっかけに、私は野沢と一緒に行動していた。文次郎は元々同室で一緒に居る事も有ったから、私が野沢の元へ向かえば文次郎も何気に付いて来ては3人になって居た。
そして気が付いたら私達3人でご飯を食べ、座学、実技を受ける。
掃除当番だって3人一緒で、昼休みも一緒。

そんな中で私はふと、六年生からの虐めが無くなった事に気付いた。
いつもヘラヘラした言葉をかけていた六年生が、不思議な位に私へと関わって来なくなったのを。同室者の文次郎も私が六年生に虐められて居るのを知っていて、いつも部屋の中で慰めてくれて居たから同じ様に気になって居てくれた。
また、虐められるのかな?って、野沢が引き摺る着物を掴めば文次郎が何か有ったんじゃないか?と返してくる。
その間の野沢は、何も言わず私達の会話を聞いていただけ。

六年生の虐めが無くなって、クラスメートの視線の意味に気付いた頃に野沢がちょこちょこと姿を消す時が合った。さっきまで隣にいたのに、目を離した途端に居なくてまた居ない。と、私の胸を締め付ける。
そして、この前、文次郎と野沢と私の3人で話しをしてる時に、一年生が声をかけて来た。

遠目だったからわかんなかったけど、見慣れないその一年生はろ組ではなくは組の奴だと分かった。いつの間に野沢と友達に成ったんだよアイツ!と思いながら、隣にいた文次郎の腕を掴めば、変な悲鳴が上がった。
そして文次郎は、今連れて来るから我慢してろ。って言い残して野沢の元へと向かう。文次郎は野沢の隣に立っては何かを話し、お面が私へと向けられた瞬間胸がドキリと鳴る。
だけどお面は直ぐ目の前の一年に戻されれば、同時にイライラして早く戻ってきてよ。野沢。と胸の中で念じた。
すると、念が通じたのか野沢は直ぐに戻って来てくれて、謝罪。と小さく誤る中私は野沢の胸に飛び込んだ。
走ってきた文次郎が隣でやれやれ。とため息ついていたけど気にしない。私はいっぱいいっぱいに野沢の腕にギュッとして貰った。

でも、ちゃんと気を引き締めていなかった私がいけなかったんだ。

六年生の虐めも無くなって、クラスメートの視線もいつかきっと飽きては晴れるだろう。って、思っていた私がいけなかった。


野沢は先生に呼び出しをかけられ、文次郎はプリント回収して先生の元へ向かっていた為その日は私一人で行動していた。たまたま近くで委員会活動があると聞いていた私は、いつかどこかの委員会に入会する為の参考がてらにその委員会活動見学へと向かっていた。
其処の委員会の先輩は私を虐めていた六年生ではなく、ちょっとだけ怖い顔しながらも五年生と四年生の先輩2人と楽しく委員会活動していた。
何故かアヒルの頭を持ち「一年生か?ほら、飴玉やるよ」と、頭を撫でられながら飴を貰い委員会見学を終えた。

きっと、部屋か教室のどちらかに文次郎か野沢が戻って来ている筈だ。
だから私は歩く事しないで走って庭を駆け抜けた。委員会見学で合った事を2人に聞かせたくて、胸がウズウズしていて……。
だけど、そんな私の目の前にやって来たのはいくつもの影。

瞬時に脳裏を掠ったのは六年生の影で、また虐められる!と私は息を呑んだ。

でも、よく見ればそれは五年生の制服で、何故?と言う疑問が私の頭の中を埋め尽くした。しかし同時にほっぺに走った痛みに驚いた時には、私の体は宙を飛んで居て、え?と目を丸くした時にはドシャ!!と体を地面に叩きつけられていた。













「一年如きが、図に乗りやがって………」











切れた口の中から気持ち悪い味がして、頭上から降り注いだ言葉に迄頭が回らなかった。





















100916
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