『何でもかんでも俺のせいにされちゃ困るって話だな?
確かにアイツに用事があった俺は、部屋に行った。だからと言って、俺が犯人だとは言いかねないだろ?』
「ふざけるな!だいたい貴様は前科が有りすぎる!
小平太や伊作それに五年の三郎。他のモブキャラ達にまで手を出している。これらの前科が今回の件もお前を犯人だと言っている様なものだ!」
『だから、俺じゃないって〜〜』
情けない声を出したその男は、自身の目の前に立つ男立花の隣にいる彼、文次郎へと声をかけるもため息をこぼされてしまう。
事の始まりは、五年尾浜勘右衛門の悲鳴から始まった。
学級委員会で遅くなった彼は、早朝に自身の部屋へと戻った。休みな事もあり今日は一日中ゴロゴロして居ようかと考えた時だった。部屋の襖を開けた時だ。
部屋の中に一人の人物がいる事に気づく。しかし、その格好があまりにも卑猥であり、明らかに事情後と見える。だが、事情後にしてはあまりにも酷い格好により、彼は悲鳴を上げざる終えなくなった。
そして、真っ先に上がった人物。六年い組、名前名字。
別名『男色評論家』であるこの男である。拳を掲げ旗を持つその姿は勇ましく、顔の整ったその眼で見つめられてしまえばくのたま言えど胸きゅん。お前のハート撃ち抜いたぜ。ベイべー。
である。
しかし、その形よい唇から紡がれる台詞
抱くなら、ケツの締まりのよい男を!
により、格好いいもくそも無い。
背丈も長次よりも高く、筋肉のつきのよい体は魅力的だが彼曰わく自身のこの体は、男のバキューン☆をバキューン☆☆をする為であり、決して女を抱く為にある訳ではない!
と言い張る位だ。
そんな彼は今、友人である仙蔵と文次郎の部屋で正座をさせられている。
五年い組、久々知兵助。
彼がああなった惨状に彼の犯行だと浮上し、今2人に尋問を受けている最中だ。
「外傷はこれと言ってないものの、酷く疲労してるらしく今医務室で休んでいる。お前は良いかも知れんが、最上級生としての他の私達が後輩からそう行った目で見られてはたまらないのだ!」
『たまらないだと?!仙蔵!お前Mだったのか?』
「変な所だけを切り取るな!悪食評論家め!私ははっきりとさせたいだけだ!」
『自分がSかMか?大丈夫だよ!俺の手にかかればいくらSであるお前がMに成り下がる事は容易くは……』
「だぁぁ!名字!!余計な事を言うなぁぁ!仙蔵も落ち着けぇぇ!」
じたばたと暴れる仙蔵をとりあえず落ち着かせる文次郎だが、その様子をみた彼が3pか?喜んで!と上着を脱ぎにかかった瞬間程、この男をめんどくさいと思った事はない。
勿論、それに更なる気分を害した仙蔵が、目の前の彼の急所を蹴りつければ悶絶してのたうち回るのは当たり前。彼は息子がムスカになる!と、意味の分からない言葉をつぶやきながら涙を流していた。
『酷いぞ酷いぞ2人して……。全部俺のせいの様な口振りでさ……確かに俺は久々知の部屋にいったけどさ、そんなつもりじゃなかったんだよ?』
「は?」
「どう言う事だ?」
『昼飯の時に、豆腐定食を頼んだんだよ。そしたら久々知の奴がもの欲しそうな目で見てきたもんだから、俺は欲しいのか?て聞けばあいつ欲しい!って言って……』
先の展開を既に理解した仙蔵の眉間に、青筋が浮かぶ。勿論これを目の当たりにした文次郎が押さえきれる事が出来る訳なく、その手をソッと仙蔵から離した。
『それで、俺は夜にあげるからそれまでお預け。って言えば、久々知はOKしたんだぜ?だから俺は豆腐と箸と醤油を持って久々知の部屋にだな』
「食べたさせたに向かったと言う事か?」
『うん』
「どこに?」
『下の口でぇ……』
余計な事をついしゃべってしまった事に気づいたらしい本人。だが、事は既に遅い。
目の前に修羅の様な怖い顔付きで、焙烙火矢をもつ一人の友人の姿に彼は冷や汗をかいた。
『って………文次郎がぁぁ……』
「その文次郎は昨晩、私と一緒にいたが?」
『な?!俺を差し置いて2人でお楽しみを……』
勿論、彼の言葉が最後まで続く事はなかった。
文次郎と仙蔵の部屋からは阿鼻叫喚と思える悲鳴と、壮大な爆発音が鳴り響いた。
それを回避する為に部屋の外にいた文次朗は、明日は部屋の大掃除だな。と遠くの空を眺めていたのだった。
了
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