方程式の惨(さん) | ナノ


□鎮魂歌


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何で?おかしいよね?おかしいよね本当に……




歯軋りの鎮魂歌



頂で眺める存在とやらに手違いでこの世界に飛ばされた私には、彼は望んだ補正一つだけが付いて死ぬまでお前を守ってやれる。って言っていたのを覚えていた。

そして願った補正を一つ告げ即座に飛ばされた忍たまの世界で、天女と言うポディションに居る。

以前話した様に、天女様健在の学園には何かと危険がつき物。私の知らない第三者的な主人公や既に忍たまキャラ達と恋人設定に成っていたりと、私が知らないキャラクター達が居たりする。
そんな彼らの存在の逆鱗に触れない様、寄ってくるモブには我慢して優しく接する。

ざっと見回したモブの存在はパッとしない。
やはり、モブなだけにくの一の子達みたいな可愛さも、忍たまの様な個性や格好良さも無い。でも、そんなモブの中に傍観側に立つキャラが居ないとは言い切れない。だから私は気を付けながら、逆ハーの世界を楽しんでいた。

可愛い下級生とのコミュニケーションを取りつつ、今の私は主に五年生達と行動している。いつもの様に六年生も私に関わろうと近付いてくるも、委員会の仕事や最上級生の任務のお仕事かなかなかお話が出来ない。
だから、今度一緒に遊びに行きましょう。の一言で、五年生と六年生の喧嘩は幕を閉じたのがつい最近のお話。
彼らのやりとりを聞いて私はやはりと確信し、補正が無事にかかっているのだと理解する。それは学園では誰かが酷く傷ついたり、非難される事は無い。では何故か?私が望んだ補正によるものだから。

私が望んだ補正は、忍たまに大切にされつつモブに殺されない事。

一見、こう見ると一つでは無い様に見えるが、私はキャラに大切にと言う言葉で区切らず、『されつつ』と続けてもう一つの願いを付け加えた。
それにより2つの願いはまるごと一つの文章として成り立ち、狙い通りに願いは通じた。

大切にされると言うそれは王道の愛されると言う意味とは異なり、両手で包み込んでは長く永久的に長持ちさせる意味合いがあると私は思っている。
愛されは人間の感情の中にある好きと言う気持ちの一種で、目の前の存在へと一点集中させ盲目と成りやすい。

現代に居た頃に読み漁った天女様健在の傍観小説を読んできた私には、その大半が天女様に酷く執着し狂気じみた性格へと変貌する好きな忍たまキャラ達の姿。

原作やアニメのキャラクター像をできるだけ壊したくない私は、愛されよりも大切にを選択した。
そう、此ならばキャラ達は恋い焦がれながら私に酷く執着はせず、護るように慈愛で満ちた目で接してくれる。

ああ…我ながら、本当に良い事を思い付いたと高らかに評価してやりたい。
まぁ、時々、三年生と四年生が私の奪い合いで騒ぎ出すけど、これ位は別に大切で護らなきゃいけない、だから一緒に居る!みたいに変換しても良いよね?

仕事だって簡単なものばかりで、要領の良い私は失敗なんてしない。

可憐で要領良く優しいながらも、保護欲をそそられる天女様。
うん!完璧!


そう思っていた。

だけど、一つだけ気になっている事が有ったりする。それが冒頭で呟いていた原因。

五年は組。別名ほんわかは組。
上級生なのに忍者が全く駄目なクラス。今の一年は組の子達が五年生になれば、きっとあんな風に成っているのだろうか?なんて思えてしまう。

しかし、問題は其処じゃない。

五年は組のみんなが私と接触して来ようとしない。

初めて私がこの学園に来た時も、何人もの忍たま達が警戒して居たがそれも数回話しただけで直ぐに打ち解けた。
天女補正によりモブに殺される心配はないけど、影で存在しているかも知れない傍観側の数だけでも減らす必要はある。仲良くする気は無いが、少しは自身から動き努力してみないと何か嫌な事が起こりそうで怖いのが本音。

だから、ちゃんとお話して私を理解し傍観側に回らせない様にする。しかし、五年は組のみんなは一向に私へと視線を向けようとはしなかった。

この前初めて亮君と出会って自己紹介したあの日、その時に演習から戻ってきたは組一同は食堂へ来ずに終わった。また、は組に会えるから大丈夫だよ。
勘ちゃんに頭を撫でて貰い、雷蔵君に慰めて貰った数日後の今ですら話して居ない。

廊下で二年生達と立ち話して居る脇をは組の子が何も言わずにスルーして行ったり、やっと食堂に来たと思えば私に注文をせずに奥にいるおばちゃんへと直接メニュー名を告げる。

声を掛けようにもタイミング悪く忍たま達が私へと駆け寄り話かけようとして、あっ!と気付いた時には既に机に座っているのだ。
行動パターンから見てモブのは組諸君は、私を警戒して居るんだって分かった。普通に考えればそりゃそうだよね。学園に戻って来たら未来から来たって言う天女様で、学園中浮き足立っている。友達も私にしか視線が行かないんだもん。誰だって私に警戒を抱く。

だけど……。

は組は何だか、こう……違和感のあるパターンと言うか………

よく分からない。

こう言った傍観小説は読んだ事が無いから、どうやって対処すれば良いのかが分からない。

だからかな?


うーん、考え過ぎ…だよね?

たかがモブだし、それに私には補正が有るんだもん。




突如として高らかに鳴り響いたそれは、空気中を伝い私の体を僅かに揺らす。
思考に浸っていた意識は現実へと引き戻される。手に持っていた箒の感触が掌へと伝わるのが分かるて、今自身が何をしていたのかん思い出す。


「(掃除…忘れてた)」


本当であれば、こんな簡単な掃除直ぐに片づけている筈だけど、先ほどの事をずっと考えていたらしく手が止まってみたい。

でも、私いつも掃除頑張ってるから、これ位で叱られる事はないだろう。



「さぁて!汚れ落として、さっさと忍たまキャラの元へ行こうかな」























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