謳えない鹿 | ナノ



「お久しぶりです」

「あれ?あんた、こっち出身の人だっけ?」

「いえ、近くを通りかかったものだから、君達の顔を覗きにと思って」

「そんな遠まわしに言わんでもわかるって、あのガキに会いに来たの間違いだろう?」

「え!あ!ちょっと!!」

「残念だけど、ガキはもう居ないぜ?」

「へ?」

「少し前に卒業試験があってな、俺等とガキの三人で試験受けてあの学校を卒業したんだよ」

「ええ?!!だって、卒業試験は半年後だと言う話じゃ・・」

「学園長がもうヨボヨボの年寄りだからな、自分の最後でも悟ったんじゃないか?お蔭でいきなりの試験に俺等達は大迷惑さ」

「それで?」

「俺とあのヘタレは六年生だったから、見ての通り忍者としてのんびり働いてる。だがよ、あいつはまだ三年生だろ?そりゃ一緒に卒業しても良かったらしいんだが、学園長が「学ぶことはまだ有るはず」とか言って、他の忍者学校に編入させたらしいぜ」

「らしいって・・・君は知らないのかい?」

「残念だが知らねーな。夜明けとともにゲ●先行と一緒に出て行ったからな。俺とアイツは其れを見送っただけだ」

「そうか・・・」

「初め、風魔に編入したのかと思ったがな、あそこにゃ、亮が嫌ってる奴が居るらしくてな。だから風魔に編入した可能性は消えた」

「そうなれば、一体何処の学校に・・・・」

「知らないな。本気で会いたけりゃお前の仲間にでも声掛けて探してもらいな」

「君の後輩だろ?心配にはならないのかい?」

「俺等の後輩だ。其れくらいお前も知ってるだろうが」

「・・・・」

「ま、そんなに悩むことじゃないだろ?世間は狭い。そのうちどっかの市とかでも会えるだろうし、向こうが寂しがってたら勝手に廃校になったあの学園に帰ってくるさ」

「・・・・・」

「納得いかないって面だな?」

「俺もだけどさ、もう一人がなんて言うか・・」

「何だ、野郎にも話したのか?」

「話したと言うより、あの一件以来気になっているみたいで……それで………」

「卒業したらって事か?」

「まぁ・・・そう言う感じ」

「はあ・・・お前も大変だな?」

「変わってくれるかい」

「報酬次第」

「お金をとるのかい?」

「今の俺は立派な忍者の一人さ。金もらんねぇと米食いそびれるわ」






















100521

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