謳えない鹿 | ナノ



五年い組は成績優秀で有名だが、ちょっと癖のある人物が集まりやすい集団。文武両道の出来るも何を考えているのか分からない。
一部の生徒から豆腐狂と言われる兵助辺りが良い例だと俺は思う。

いつもは真面目過ぎるくらいの勉強熱心に加えて自主トレは欠かさず、い組の1、2の座を争う実力者。
しかし、二言目に出て来る台詞と言えば豆腐の二文字であり、それ以外を語ろうとはしない辺りきっと兵助は勉強のし過ぎにより頭の病気か何かだと俺は思った。
しかし、やはり可笑しな集団の中に一人位居るのが、普通の奴。

そいつは勘右衛門。
い組の中では唯一のまともな人物である。いきなり座学の内容を黙々と一人で話し出したりしないし、苦無いを振り回して教室の窓から飛び出る行動はしない。

ぶっちゃければ、い組は思考回路が理解出来ない集団。

五年ろ組。
自身のクラスは至って普通の生徒ばかりだ。
自分で言うのも何だが、本当に普通過ぎる集団。
テストも五年生の平均点を普通に取るし、い組と比べずば抜けての実力者なんて居やしない。

まぁ、例外は有るが。

因みにその例外とは、三郎だと俺は思う。
変装の名人であり、常に無二の親友である同室の雷蔵の顔を拝借して居る。その素顔は誰も見たことは無く、雷蔵でさえ見たことが無い。

次には組。

この集団を一言で言い表せば、忍者になる夢を見るには不向きな輩達である。
成績はい組に比べては劣るも、ろ組とはそれ程に大差が無かったりする。しかし、逆に実技となるとどこの学年と比べても、彼等はひどい成績だったりする。

その理由が相手を気遣う。と言う理由。

どんな状況下でもは組の連中は手加減をする。それが無意識らしく、そのせいで自身へと刃が向けられては返り討ちに合う。

組み手をするにしたって、相手を投げ飛ばすと言う事をする前に相手側に打ち負かされてしまう。

そんな五年は組についた名前は、ほんわかは組。

は組に編入生が入ったと聞いた時には、運が良いのか悪いのか良く分からない。
い組は文武両道
ろ組は座学は劣るが実技は強い
は組はどっち付かずで実技がかなり弱い。

編入生がどんな忍たまなのか気になった。
は組に入ったと言う事は、能力はい組とろ組より劣ると言うのは必然的に理解出来る。

やはり、学園が異なる故の学んだ内容に差が出たんだろう。

って事は、きっと今の五年生の授業内容に追いつけずに困って居るんじゃないか?


そう考えれば、居てもたって居られない俺は、せわしなく筆をくるくると回す。



「(次の授業はい組とは組の組み手の授業だったよな?)」



澄み切った空を見上げ、どんな編入生なのか。
勝手に想像を描く俺へと先生の拳が落ちるまであと数秒後。


















100420

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