謳えない鹿 | ナノ



心配か?



その言葉が一体だれに向けられているのか?
そんなのは分り気っていた。それに対し、俺は馬鹿がと言って遣れば、ハァとなんとも情けない言葉で返されてくるもんだから張り合いの無い奴だとつくづく思う。

馬鹿が、俺達の後輩だろうが?そこらの餓鬼共と一緒にすんじゃねぇと言って遣れば、はいはい。お前さんならそういうと思っていたよ。と、上目線からの発言に本当にイライラしてきやがる。
先日行われた卒業試験に無事合格出来た俺等だが、3つ下の後輩が他の学園に編入するという話を聞いて俺とコイツは正直驚いた。コイツがこの学園に入ってからは、毎日といっても過言では無い位にともに行動していた。
実際、この学園は風魔の様に実技が多いだけでは無く、実践の中でそのまま授業をしたりと可笑しな事をする学園だ。勿論其の分命の保障も無く目の前で数え切れない程の先輩や後輩が、無残な肉片と成り亡骸と成りこの世から散っていく様を目の当たりにして来ている。
そして気が付いたら後輩はただ一人のアイツだけ。

餓鬼のくせ物分りも良く、世の中の物事あまつさえ人間の性(さが)まで理解しているのだから、マセ餓鬼と俺は今まで呼んでいた。

アイツの実力は俺や先生のお墨付きだってのに、どうやら年齢が忍者の世間を邪魔立てしているらしく、あえなく他校の学園へと編入させられた。
コイツはアイツが上級生に苛められやしないかと不安そうだが、アイツがそんな幼稚な行動に当てられる筈が無い。
何だって、俺等の後輩。
叩きのめす奴やそうじゃない奴、知的能力のある奴と無い奴の区別は尽くし関るべきではないだろう奴には近付きもしなければ関ろうともしない筈。
賢いからな、あいつは。

にやりと自然と零れた笑みに気が付いたそいつは、なんだよ?と怪訝な顔付きで俺へと視線を向けた。


「大丈夫だって、あいつなら」

「その根拠は何処からやって来るんだよ」

「前に先輩としてちゃんと伝えていらぁ」

「何を?」









遣られたら倍返しにやり返せよ、ああ、コレは先輩からの助言だ。目上の方の言う事は聞くもんだろ?












そう言えば、こいつはなんて事を吹き込んで居るんだ!!!!と騒ぎ立てた。

心配ねぇっての、手加減位はできるだろうが?




なぁ?





亮?
















100417

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