「もうマークなんて嫌いだよ」

宿舎の廊下のど真ん中、マークを押し倒すような形になりながら子供見たいに泣いていた。



遡る事数分前、マネージャーの仕事で大量のタオルを運んでいた私にマークが手伝おうか、と声をかけてくれて振り返った時に勢いあまってマークにぶつかった。

大量のタオルを散乱させながらこけた私は床とぶつかるのを覚悟していたけど、予想していたような痛みは無かった。

「大丈夫か名前?」

「へ?」

何でも下からマークの声が、と目を開けると、マークの顔が真正面にあって、私がマークを押し出したような形になっていた。

「だ、だい、じょ…」

事故であってもこの状態は正直その、ドキドキするわけであって、冷静になんてなれない。
今頃きっと顔が真っ赤になってるだろう。

「どうかしたのか?」

顔赤いぞ、とマークが聞いてきた時にマークを見ると、私とは反対にいつもの様に冷静な表情をしていた。

その瞬間、今まで心の奥に溜めていたものが急に溢れてきた気がした。

私だけが何かドキドキしてるみたいで、マークはこんな状況でも何とも思ってないみたいだった。

急に悲しくなってきた。もしかしてマークは私の事なんかなんとも思ってないのかなって。

「マークは、私の事何か好きじゃないんでしょ?」

気づいたら言っていた。だってそうじゃない。告白したのも私からだし、まだ手繋いだり、キスだってしてない。

「マークは大人っぽいし、子供みたいな私なんかとは不釣り合いだし」

つらつらと言葉を並べながら言っていると、急に涙が出てきた。

「もうマークなんて嫌いだよ」

こんな事で泣く子供みたいな私何て、やっぱりマークは好きじゃないんでしょ?

「名前」

「ん?」

急に頭を引かれたかと思うと、唇に何かが触れて驚いて目を開けるとマークの顔があって、心なしかマーク頬が赤かった。

「不安にさせて悪かった。その、俺は別に大人っぽくなんかないんだ」

「どうゆう、事?」

「こんな格好悪い所見られたくなかった。さっきだって冷静に装ってただけで…」

そう言うと、マークは起き上がるとそのまま抱きしめてくれた。

「ディランやカズヤの様に感情表現が上手くないからわからないかもしれないけど、俺は名前が好きだ。誰よりも名前が好きな気持ちは負けない。」

ギュッと抱きしめる力が強くなって、マークの気持ちがヒシヒシと伝わってきた。

「名前は、俺の事好き、か?」
「うん、大好き!マーク!!」
私も腕を回してマークに抱き着いた。

不器用に言葉を並べながらも、気持ちを伝えてくれるマークが愛おしくて仕方なかった。

「廊下でイチャイチャして見せつけるなよ、このバカップル」と黒い笑顔を浮かべたカズヤを筆頭にしたユニコーンメンバーがきまづそうに来たのは、また別の話。





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