夢小説 | ナノ




26:兎と狐の仲良しこよし

「さぶろ、あの……これ、教えて欲しい…」
「ああ、これはだな……」





「……なーんかさあ、あの二人、最近やけに仲良しじゃない?」
「それは俺も思った」
「僕も」
「俺も」


仲良し五人組に、最近加わった人物が一人。
みょうじなまえだった。
特に拒む理由もなく、承諾した四人になまえを輪に引っ張り込んできた三郎は嬉しそうに笑った。
二人が遭難した後、何があったのか急に仲が深まったらしい。帰って来た後名前で呼び合う二人を見て目を丸くしたものだ。


「三郎がみょうじを引っ張って来た時には驚いたけど、仲良くやってるみたいだしいいんじゃないか?」
「あんなに嫌ってたのになあ」
「それどころか最近はみょうじを僕たちと仲良くさせようと躍起になってるみたいだけど…」
「みょうじもちょっと明るくなった感じしない?俺、この間話しかけられちゃったあ」
「え、マジで?」
「三郎の居場所聞かれただけだったのだあ」
「ちょっと兵助さん?」


遭難中に何があったのか、二人は頑なに話そうとはしなかったけれど。
それでも、良い変化をもたらしたのだから、遭難も悪くないかもしれない。



でもやっぱり、死ぬほど心配したのでもう勘弁です。
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