夢小説 | ナノ




11:兎のお出かけ準備

そういえば、買い物に行かなければいけない。
食材はあらかた初日に買い込んだが、服やら下着やら、布団やらが足りない。
しかしそれには、髪を切らなくては。帽子をかぶるのはあまり好きじゃない。とりあえず、髪を切ろう。
昨日買った鋏を手に取り、少し考えたあと風呂に向かった。風呂場なら鏡もあるし、椅子もあるし、片付けもしやすいだろう。肩にはバスタオルでも巻けばいいか。
そう決めて、早速風呂場で髪を切ろうとしたその時、


「……何してるんだ?」
「ぴゃっ」


突如背後から現れた鉢屋に情けない声を聞かせてしまった。その上、手に持っていた鋏も落とすという醜態。
鉢屋は無言で落ちた鋏を拾いあげ、鋏となまえを交互に見た後、


「…髪を切るのか?」
「う、うん、そう」
「自分で?」
「う……ん、」
「出来るのか?」
「た、多分…?」
「…………私が切ろうか?」
「えっ」


思わぬ提案に驚きすぎて固まってしまったなまえに、そんなに驚くことだろうかと鉢屋は首を傾げた。結局、鉢屋にやってもらうことにしたが、ガチガチに緊張してしまって苦笑された。


「…こんなに切るのか?」
「うん、こっちでは、男の人は大体このくらいの長さ、だよ」
「そうなのか。覚えておこう」


ちょきちょきと器用に髪を切っていく鉢屋。
さすがにタカ丸さんほどとはいかないが、十分上手で、やっぱり天才は違うなあとなまえは感心した。これなら別に美容院で揃えてもらわなくても大丈夫そうだ。


「出来たぞ」
「あ、ありがとう!これで、外に行きやすく、なったよ」
「え?」
「えっ?」
「……外に出るのか?」
「う、うん。買い物に…」
「私を一人ここに残して?」
「えっ…あっ……う、じゃあ、一緒に…来る?」
「行く」
「え、えっと、じゃあ、」
「髪はその位が普通なんだったな。ちょっと待ってくれ。すぐに調整する」
「は、はい」







よく分からないけど、一緒に買い物にいくことになりました。
[] | [] | []