夢小説 | ナノ




14:謝罪と仲直り

「みょうじ、俺が不甲斐ないばかりに済まなかった。許してくれ」



Q.天女様にゾッコン(笑)だった潮江先輩が何故かボロボロになって土下座してきます。特に身に覚えのない謝罪なのですが、どうすればいいでしょうか?

A.一応相手は六年生なので、とりあえず頭を上げて貰いましょう。事情を聴くなら潮江先輩本人よりも、その後ろで般若のような顔をしている立花先輩が適任でしょう。



「なに、気にする事はない。このバカが未だ天女に気があるような態度を見せたから制裁したまでだ」
「はあ」
「恋愛は個人の自由だが、私の可愛い後輩を悲しませるような輩の肩を持つなど、文次郎の分際で許される訳なかろう」
「さすがっスね。立花先輩パネェ」
「そうだろうそうだろう。さあみょうじ、気が済むまでこのアホを痛めつけるがいい」
「いやあもう私の出る幕ないかなって」


もう既にボロボロですやん。
っていうかいい加減頭上げてください。


「済まないみょうじ。天女が差し入れを持ってきた時に『何かの間違いだ』と思っていた。…いや、思いたかったんだ、俺は。せっかくお前が作ってくれたというのに、申し訳ないことをした」
「別に怒ってるわけじゃないですし、そこまで謝っていただなくても結構ですよ。潮江先輩の珍しい姿が見られてちょっと楽しかったですし」


にっこり笑うと私が気を遣っていると思ったのか潮江先輩はぐっと何かをこらえるような表情をした後、「ありがとう」と言ってもう一度頭を下げた。
いやあ楽しかったですよ、潮江先輩が天女様に一生懸命話しかけたり一生懸命尽くしたりしている所見るの。
この状況も珍しいですけどね。


「でもこれじゃあ先輩の気が治まらないですよね。では貸し一つってことで」



いいですか?
おや、潮江先輩。どうなさったんですか?顔、真っ青ですよ。













「喜八郎、よく似合ってるよ」
「ほんとう?なまえも付けて見せて」
「ん。どう?」
「なまえちょー可愛い。食べちゃいたいくらい可愛い。食べていい?」
「だめー」


今日もきゃっきゃうふふとじゃれあうなまえくんと喜八郎くんを呆れた目で見る滝夜叉丸くんと三木エ門くん。二人ともどこか安心したって表情だ。

天女様がなまえくんの簪を盗み出したらしい。
しかもその簪は喜八郎くんとお揃いでこしらえた大切なものだったらしい。
怒気をみなぎらせるってこういうことかって状態の喜八郎くんに滝夜叉丸くんは真っ青だった。

なまえくんはなまえくんで何だかしょんぼりしてて、この二人は本当に仲が良いんだなって思ってたら、滝夜叉丸くんと三木エ門から相談をうけました。
その内容があまりに可愛らしくて、すぐに手配してあげて。

お揃いの簪を新調する、ということでうまく収まったみたい。
お互いに付け合いっこしてる二人は服装こそ忍たまの忍装束だけど、もはや女子。
僕の知り合いの簪職人さんに特別に作ってもらったものだから二人によく似合ってる。


「また被害に遭わない様に見せびらかしに行かなきゃね」
「! そうだなまえ、行こう?」
「せっかくだから着替えたらどうだ?」
「そうだ、女装して化粧した方がよく映えるだろう」
「二人が着替えてる間にその簪の話、広めておくね」


滝夜叉丸くんと三木エ門くんがやれやれ、といった感じで。僕が任せて!って感じでそう言ったら。
二人は顔を見合わせて、にっこり笑って。


「うわあっ!?」
「こら、何をする!」
「わわッ!?」


突然ダイブしてきたもんだから、五人で廊下に転がっちゃって。
なんだか面白くなってみんなして笑っちゃった。




滝と三木は素直に「ごめん」と言えないので、こうやってこっそり罪滅ぼしみたいなことしてそう。
タカ丸さんは実家が髪結いだし、髪の装飾品を取り扱うお店の人とパイプ持ってるよね。
いわゆる特注だから高いけど、四年三人+委員会の後輩ラブな立花先輩と食満先輩が出資。

冒頭の潮江先輩はきっと立花先輩に嵌められてああなってる。
何気なく「そういえば文次郎、お前まだ天女様に懸想してるのか?」って聞かれて差し入れの件で微妙にしこりを感じていて「ん?…ああ…、まあ…でも、」みたく歯切れの悪い返事をしたら「なんだと貴様あの女は私の可愛い喜八郎がみょうじとお揃いで作った簪を盗むようなクソだぞそんな女にまだ惚れてるとかどういうつもりだ覚悟はできているんだろうな文次郎」みたいな感じで怒涛の八つ当たりを受ける。
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