夢小説 | ナノ




07:学園と三郎

「――結論から申し上げますと、天女こと園原愛美は学園にとって害をなす人間であると言えるでしょう」


仙蔵の報告を神妙な顔で聞いていた学園長は「ふむ」と相槌を打ち「訳を聞こうかの」と促した。


「上級生の多くを惑わしたことは学園長もご存じであると思います。それに加え彼女は自らの仕事を小松田さんや下級生へと押し付けているようです」
「なんと。具体的にはどのような仕事じゃ」
「所詮は外部の女。読み書きも危ういとのことで掃除や洗濯程度しか仕事は与えられていなかったようです」
「その仕事すらもこなせんとは…」


はあぁぁぁと大きなため息をつく学園長に仙蔵も同意しか示せない。とんだ役立たずだ。
しかしここで終わる訳にはいかない。キリッと表情を改めた仙蔵は真剣味を帯びた声で言った。


「更にお耳に入れておきたい情報が……」
















「なまえ、なまえー。あーん」
「あーん」
「おいしい?」
「おいしい。でもいいの?金平糖なんて高価なもの」
「いいの。僕はなまえが大好きだから、大好きななまえに食べて貰いたいの」
「うふふ。私も喜八郎が大好き。だから私も喜八郎に食べさせてあげたいな。あーん」
「あーん」


「恋仲かッ!!」


きゃっきゃとじゃれあうなまえくんと喜八郎くんを見て鉢屋くんは叫んだ。
突然叫び出した鉢屋君に向かい合って座っていた喜八郎君が「きゃー先輩こわーい(棒読み)」と言ってなまえくんに抱きつく。
重みに耐えられなかったらしいなまえくんがごろんと転がると、まるで喜八郎くんが押し倒したかのよう。
「きゃっ、綾部ったら大胆!」と嬉々として茶々を入れる尾浜くん。
なまえくんはヤダーとか言いながら喜八郎くんの腰を足で挟んで、一瞬のうちに上下が入れ替わった。喜八郎くんが下で、なまえくんが上に。


「どうせなら私が上が良いな。ねえ、いいでしょう、喜八郎……?」
「あっ…なまえ……だめ」
「だめなの?」
「うそ。なまえになら……いいよ」
「喜八郎…」
「なまえ…」


「恋仲かッ!!!」


再度鉢屋くんの渾身のツッコミが入った。恋仲のように見つめ合い、口吸い寸前まで近づいていた顔がやっと離れる。


「おやまあ、鉢屋先輩ったらノリが悪いんですから」
「もっと気の効いたツッコミは出来ないんですか?これだから鉢屋先輩は…」
「今のでノリ悪いってどういうこと!?あのまま口吸いするまで待っとけってことなの?お前らデキてんの?」
「うわ…デキてるとか言い出した…」
「鉢屋先輩、それセクハラでーす」

「はあ。平和だなあ…」

「このやり取り聞いといて感想それ!?何なの?四年は自由人しかいないの?馬鹿なの?」
「あ゛?」
「すいません!」


打てば響く鉢屋くんの反応はなまえくんのお気に入りらしい。


「鉢屋くんをいじっている時のなまえくん、輝いてるねー。楽しそう」
「なんだかんだ言って鉢屋は構われたがりだからね。ああやっていじってもらって鉢屋こそ楽しそうだよ」



ああ、本当に平和だ。


チクり魔立花先輩と休憩中の四、五年。
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