夢小説 | ナノ




03:仲間と観察

六年生では七松先輩と潮江先輩。食満先輩と善法寺先輩。
五年生は不破先輩と久々知先輩。竹谷先輩もアウト。
四年生は滝夜叉丸と三木エ門。

つまりは上級生の半分以上があの天女様にコロリとやられてしまったらしい。
今日も天女様のお傍に侍り、楽しそうにお話している。



「まるで砂糖に群がる蟻だな」


苦々しそうに鉢屋先輩が呟いた。あの取り巻きの中にいる同級生を思うとお辛いのだろう。私も胸が痛いから。
―――居た堪れないといういう意味で。


「おやまあ。砂糖なんて高級品ですか、あれは」
「汚物に群がる蝿のほうが適切では?」


ねーっと喜八郎と顔を見合わせると、同じテーブルについていた鉢屋先輩とタカ丸さんがひきつったような顔をしていた。
本当はもっと下品なものに例えたかったのだけれども、一応食事中なので。自重したんですよ、これでも。


「それにしても、嘆かわしいですね。上級生の半分がああも無様に色に溺れてしまうとは」
「返す言葉もないよ、綾部。……本当に、鬱陶しい。いなくなってしまえばいいのに」


みょうじもそう思わないか?
鉢屋先輩に同意を求められ、一瞬だけ天女様へと視線を移した。うわ、潮江先輩が照れてる。グロイ。


「今のところこれといって実害がありませんので」
「……えっと、先輩や同級生たちがああなっちゃてる訳だけど…」
「田村はお前の同室だろう。何も不都合はないのか?」
「不都合と言いますと?」
「アレについて延々と語ってくるとか」
「滝と三木に関して言えば通常運転ですが」


滝のぐだぐだはもちろんだが、三木も意外と語り始めると長いのだ。やれユリコがどうだとかサチコが綺麗だとか。
名前が天女様に変わっただけ。それだけの話だ。こちらが天女様を否定しなければ突っかかって来ることもない。

チッと隠す気のない舌打ちが聞こえる。どうやら鉢屋先輩は相当あの天女様がお気に召さないようだ。
やはり不破先輩が盗られてしまったのが効いているんだろうか。うっすらと殺気すら漏れだしている困った先輩の湯呑みに茶を継ぎ足す。


「落ち着いて下さいよ、五年ろ組学級委員会委員長代理、変装名人の鉢屋三郎先輩。繰り返しますが、上級生の半数以上がああなのです。彼女が現れてまだ三日目にも関わらず、です。さすがに先生方も放っておかないでしょう。直に手を打つはずです。その時に先輩がそんな状態だと、参加させて貰えませんよ」
「………………」
「オチツイテクダサイヨーセンパーイ」
「黙れ綾部大人しく食ってろ」
「………………」
「ちょ、喜八郎くんこっちガン見しながら黙々と食べるのやめて、怖いよ!」


ぎゃあぎゃあと楽しそうな三人。その背後の見るに堪えない惨状を何気なく見ると、中心で楽しげにおしゃべりしていた天女様と目があった、気がした。



後輩に泣きつく鉢屋。後輩のグループに突撃して一緒にごはんを食べる鉢屋。勘ちゃんは寝坊。
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