夢小説 | ナノ




番外編--:あとがき

▼ はじまり
三ろとの出会いです。
なまえがまず仲良くなるのは、迷子二人だと確信しておりました。警戒心の強い作兵衛は、噂から先入観を持ってしまい、あまりなまえに近づきたがりません。その作兵衛が接点を持つには、もう迷子組しか方法はありません。今でこそ、少し不思議で意味深な発言が目立つなまえですが、入学当初は隠そうとしていなかったので、もっとあからさまでした。なまえにとっては空にはキラキラしたものが飛んでいるのが普通だし、自己紹介しなくても相手の名前が分かるのもいつものこと。でもそれが、他の人にとっては普通じゃないってことに少しずつ気付き始めます。

そんな中、迷子二人は独特の感性を持っている所為かなまえに怖じ気づきません。
三之助は本人に「問題児のなまえ?」なんてズバッと聞いてしまうし、なまえと躊躇なく手も繋ぎます。だって自分が迷っちゃうから。何気に、ここで初めてなまえは誰かと手を繋ぎました。
「飛んで行っちゃうからずるする〜」のくだりは、三之助は相手は鳥か蝶だと思っています。周りに誰もいなかったし、そういえば噂もあるし。

左門は初対面でなまえにお説教します。だって危ない!
ふらふら〜と怪しいおじさんにも付いて行きそうななまえを見て、「僕がしっかりしなきゃ!」と正義感を募らせます。一年生の時から鈍いなまえは、左門のダッシュには付いていけません。転びます。三年生の今は運動神経が少しだけよくなったことと、左門がある程度合わせてくれる為、一緒に走ることが出来ます。

迷子二人を学園内まで戻しておきながら、作兵衛の元に直接連れて行かないのは、はじめて会った時、作兵衛がなまえに対して恐怖というマイナス印象を持ったことを感じ取ったからです。「よく分からないけど、富松くんは僕が怖いみたいだから、怖くないようにしよう!」という考えです。元々いた村では大抵の人間がそういう態度だったので別に傷つきもしませんし、悲しくもありません。割とそういう所はドライなので、「そういうものか」くらいの受け取り方です。
なので、作兵衛に「嫌じゃない」と言われた時はちょっとびっくりして、嬉しくてニコニコ。この後からなまえはちゃんと迷子を保護者の所まで連れて行きます。照れくさそうにお礼を言う作兵衛を、迷子二人がにやにやしながら見守っていることでしょう。


▼ 手当て
なまえは子供特有の謎のチャレンジ精神が旺盛。仲良しの孫兵が毒虫と仲良しだから、なまえも仲良しになりたいようです。なまえが素手で捕まえちゃうのは、やっぱり「別に死んだりしないから」というのが大きな前提で、次に「孫兵が探してるから、逃がさないようにしなきゃ」があり、慌てて捕まえてから、「数馬に怒られる」が出てきちゃう為。やや本能的な無計画な捕獲ですが、五年生くらいになると多分怪我なく捕まえられるようになると思います。

随分前ですが、映画で「傷に手を当てて気を送り込むから、手当てという」みたいな台詞が頭の中に残っていて、この時代はこういう念というかおまじないを信じている時代だと思うので、数馬にやってもらいました。なまえは自分がやってもらって嬉しかったので、数馬にもやってあげる。その結果、右手のもたらす偶然のおかげで少しの間ですが不運を神回避できるようになった数馬。保健委員会の中で「ゴッドハンド」と呼ばれたり呼ばれなかったり。数馬的にはずっとおまじないしてて欲しいけれど、番外編の「星に願いを」でも書いた通り、保健委員会の不運は致死レベルの大きな不運を小出しにしてガス抜きしている状態(という私設定)なので、あまりしてくれません。たま〜にしてくれます。たまにね。


▼ 水の音
現パロでお泊り。安定の保護者の兵助さん。室町時代の頃よりも男の子のなまえに犯罪的な意味での危険はぐっと少ないのですが、兵助にとってはなまえはいつまでたっても可愛くて幼い後輩なのです。三郎も宿泊に渋るフリはしますが基本的にはデレデレです。食後のアイスよりも甘いです。

夜中に響く水の音自体には、別に害も効果もありません。夜中にふと時計の針の音が気になって寝れなくなる。そんな感じの、些細な音です。いつもは一回止めれば止まる筈の水の音が、この日に限って何度も何度も繰り返したのはなまえが泊りに来たからです。霊感MAXのなまえが自分の領域に入っていることで、水の音は何度も何度も繰り返すことになりました。
なまえがトイレに起きた時に兵助に対して敬語が抜けているのは完全に寝ぼけているからです。いつも以上にふわふわしてます。「大丈夫か?」「余裕!」みたいな返事はきっと三之助から学び取っている。たまに変な言葉も覚えてくるので三之助が孫兵に〆られる。

水の音が水滴から滝になったのは、なまえが行ったからです。一回目は風呂場、二回目は台所、三回目はたまたまトイレでした。水音が轟音になったのになまえが無反応だったのは、単純になまえにはその音はよく聞こえていなかったからです。なので、なまえにとっては半分寝ながらトイレに行くと、なんだか先輩達が大きな声で怒鳴っている。喧嘩してるのかもしれない。喧嘩よくない、どうしよう。という感じです。
なまえには兵助達の半分以下の大きさの音でしか聞こえず、その音もトイレの流水音に紛れてよく分からなかったようです。「やめろ、来るな」という制止の声は寝ぼけていて全く聞こえていません。なまえの持つ力による防御というか、シャットアウトみたいなもので、いつものBGMに成り下がっています。そうなると余程のことがなければ雑踏の中にいるようなものなので、ただでさえ半分夢の中なのも手伝って、なまえの記憶には残りません。

いつもはなまえにしか聞こえないものが、なまえ以外の人間には聞こえる、というのがいいかなーと思って書きました。なまえにとっては日常的なものなので気付きませんでした。逆に言うと、いつもあんな感じなのでなまえは大変図太く出来ています。


▼ 後書き
番外編のあとがきは(あれば)ここに全て収納する予定です。
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