夢小説 | ナノ




--:あとがき

▼ 追体験
四年生とも絡みを!ということで滝夜叉丸くんを召喚。
本当は番外編でもっとギャグチックな話にしようとしていたけどガチな方に方向変換しました。
四年生は三年生ほどではないけどなまえの能力に受容的です。上級生の中では頭が柔らかいというか体験に基づく知識を素直に受け入れるというか。

本文中にありますお絹さんは実の祖父に殺されました。
何故殺したのか?という質問を頂きましたが、皆さんでお好きに想像するもよし、以下の昼ドラ的展開を見るもよしです。

ここから----※お絹の両親は流行病で死亡し、翁が娘同様に育てていた。お絹は年頃の娘。恋人と一緒になりたいと翁に報告する。しかしお絹を溺愛していた翁はこれに激怒。絶対に許さんと反対した上にお絹を家に閉じ込めてしまう。翁の豹変ぶりと自身への執着心に恐怖したお絹は夜中にこっそりと家から逃げ出す。しかし森の中で翁に追いつかれ、殺されてしまう。翁はお絹を溺愛するあまり、家族への愛を飛び越えて異性への愛となっていた。それなのに自分を裏切り他の男を愛したお絹を許せず軟禁。そして逃げ出したお絹に、二度目の裏切りを感じて自分の物にならないなら殺してしまおうと思い立った。----※ここまで昼ドラ


女装した滝夜叉丸を見た時、翁は本当に一瞬、お絹と見間違いました。
そして滝夜叉丸にお絹の着物を渡した理由は、やはり一時の激情に身を任せてお絹を殺してしまったことに後悔していたことと、手元に遺品があると辛くなることからでした。
お絹にそっくりな滝夜叉丸に着物を持っていてもらえばどこか遠くでお絹が生きているような気がするから。
渡した着物の所為で怪異が起こることは翁にとって想定外でした。

何度も何度も死を繰り返す、というのはホラーではよくある設定なのですが、お絹さんもそうでした。
毎日毎日繰り返していたところに、自分に良く似た滝夜叉丸が着物を手に入れてしまったことで、チャンネルが合ってしまいました。
結果夢の中で追体験する形となり、強い無念の所為か夢の中だけでは留まらずに現実でも追体験、つまり首を吊らせてしまいそうになったのです。
なまえが直前でその場に居合わせたのは、なまえにもチャンネルが合っていたから。しかし霊力MAXななまえにとってはただのBGMでしかありません。
ただ、前述した通り強い無念と未練のために干渉力が大きく、有体に言えば「テレビの音が大きすぎて寝れない」状態となり、様子を見に行った次第です。
そこで首吊りしそうな滝夜叉丸に会ってびっくり。
女装についてのレクチャーをしたのは、お絹とのチャンネルを合わせない為です。もともと性別が違うので、化粧の仕方を少し変えるだけで印象が大きく変わるだろうと。
それプラス、もう翁に会っても見間違えられないようにするためという理由もあります。殺害動機が一方的な痴情の縺れなのでストーカーにならないように。
着物はなまえによって焼却処分済み。縄と踏み台は用具倉庫に返却済みです。着物ももう手元にないので、翁にさえ気を付けていれば多分大丈夫だろうと思いました。

孫兵が来た時に滝夜叉丸が保健室のすぐ近くにいたのは、なまえが最初から保健室に向かっていたからです。首元に残る痛みのない赤い絞め跡は鉄板というかなんというか。
痛みはない癖になかなか消えない跡ですが、心配したなまえが手を当てて撫でると次の日には消えます(便利な力)。


▼ 天井の染み
お待たせ致しました、留三郎の話です!
そういえば木の木目や天井の染みが顔に見えるとか書いてないなと思って書き始めたのに何か違う感じになっちゃいました。
本編中で留三郎が自然に「何とかして染みを取り除かなくては」という考え方をしているのは防衛本能的なものです。何となく危険なものと分かっていたんじゃないかと思います。

ホラーアニメとか見ると奇声とか叫び声とかでの演出あるじゃないですか。あれって結構ダイレクトに来るし、毎回無言でカサカサ這い寄られてもなあと思うのですが何て叫ばせればいいのか分かりません!キエェエエーみたいな感じを音で聞くとそれなりに怖いのに文字にするとギャグになっちゃう不思議。難しいです。
基本的に学園の人たちは下の子を守る使命感や責任を持っていると思っているのでどれだけ怖くっても後輩がいれば即座に立ち上がって守るんだと思います。

なまえが来たため血だまり女は最初の染みの状態までリセット。
時間が経てばまた同じことを繰り返してべちゃんと落ちてきますが、なまえの手によって抹消。
余談ですがあの削るやつって何て言うんでしょう。ヘラみたいなやつ。
削るのはよくない、と言いましたが削ると木屑が部屋に落ちるし、細かいカスを吸い込んでしまうかもしれないからです。
伊作の謎の液体(笑)を使っても取れない染みもなまえならば空拭きで十分です。圧倒的浄化力。
なまえの言うコツは感覚的なものであってただでさえ説明が難しいものなので、語彙力に乏しく説明が苦手ななまえには説明出来ませんでした。

何となくですが六年生のなまえの力に対する認識は組ごとに分けています。
は組→割と受容的。力に対する一定の信頼もあり。少しずつ力に対する理解を深めていきたい。
ろ組→何となく理解している。疑問はあるが自分から踏みこまない。中立、傍観の立場。
い組→どちらかというと怪異な出来事自体に否定的。力に対し何らかのトリックがあるのではないか?と科学的思考を進める。
気付けば残るは文次郎のみですね。どんな話にしようかな。

最後らへんでなまえと兵助が手を繋いでいた所ですが、なまえは結構誰かれ構わずに手を繋ぎます。
これは入学時から三年ズに懇懇と言い聞かせられていたのでこうなりました。入学時のなまえはボーっとしていて置いて行かれたり、逆に迷子コンビ並みに見当違いの方向に歩きだしていたりと大層危なっかしかったので手を繋ぐようになりました。手を繋ぐことで徐々に『こちら』へと意識を定着させることを癖にすることが出来るようになりました。その名残なのか、同級生以上の人といる時は手を繋ぎますし、親しい先輩も既に手を繋ぐことが習慣化しています。

掃除の時に借りた手拭いには、染みを拭いとった汚れがあったので、なまえによって回収されました。
そのことに気付かせないさりげなさは意外と忍に向いているのかもしれません。
女装授業で町に出たので、新しい手拭いをプレゼントです。
汚れた手拭い?燃やしました。困った時の焼却処分。もっと他の浄化方法を考えたい今日この頃。


▼ 返りの風
一周年リクエストで「呪いで寝込んだ兵助の為に呪い返し」でした。ちなみに読みは「かやりのかぜ」です。
呪い=藁人形!という短絡的な思考で書きました。儀式めいた呪いは蟲毒先輩がしたしね。

実習が短縮されて学園に戻ると、兵助が寝込んでいると聞かされるなまえ。お見舞いに行って、一目で呪われていると見抜きます。兵助に触った時に呪いを返還しました。すやすや眠った兵助がみた夢は、なまえの力の片鱗に触れた為。
そして兵助のお見舞いの帰りに、××に遭遇。なまえの言った「お返しします」は、呪いの返還と、仕返しの意味での「お返し」の両方の意味が籠ってます。
呪いを返すということは、××が寝込み、死ぬ可能性もあるということはなまえも承知済み。しかし大好きな先輩を害されたので容赦はしません。良く知っている大好きな先輩の兵助と、名前も知らない上に兵助を呪ったりする奴ならば迷わず兵助を取る。躊躇は一切なし。それがこの夢主です。
結局兵助から頼まれたので××にも同じことをしました。××の方が兵助よりも症状がひどかったのは、別になまえの所為ではなくて本人の思い込み、精神的なものです。よく聞く「相手に呪っていると言うことで精神的に追い詰めて自滅させる」あれです。

三郎の言っている明日の準備〜や自分の役目〜は別に兵助に会いに来たことではなく、怯えまくって寝込んでいる××の為にろ組の皆で千羽鶴折ってお見舞いしようぜ!という企画のこと。双忍+竹谷で鶴を折ってて、手先の器用な三郎はさっさと自分の分は折り終えて雷蔵のお手伝いしようとするも「これは僕の分!」と言われて仕方なしに竹谷の折った鶴に文句つけながら手伝おうとしたら「三郎邪魔。うるさい。しばらくどっか行ってて」と雷蔵様に部屋を追い出された三郎さんです。

今回は兵助がなまえの力のことをはっきりと認めて、それを受け入れるのが大きなテーマでした。勿論それを促した三郎も、同じく受け入れつつあります。上級生達もほとんど出尽くして、そろそろ教師陣の出番でしょうか。
どう絡ませていくかが難しいところですが、お楽しみにお待ちください。


▼ 探しもの
一周年リクエストふたつめです。無害な幽霊とほのぼのおやつを食べる勘右衛門を書こうとしたのに何故か切ない感じになってしまいました。

勘右衛門が一年生の時に先輩は四年生で、勘右衛門が四年生の時に先輩は卒業しました。
卒業後、小さな城に就職した先輩は、卒業して数カ月して約束通り学園に遊びに来ました。勘右衛門大喜び。その後は音信不通で、きっと先輩は忙しいんだと騙し騙し月日が過ぎていく。
先輩は既に亡くなっていました。死んでからも成仏出来ずにウロウロしていたところ、懐かしい母校にふらりと入ったところで勘右衛門と遭遇です。

死んだ時に来ていた服から六年生の制服に変わり、勘右衛門は特に疑問を抱くことも出来ずに大喜び。兵助が「懐かしい匂い」と言ったのは、下級生のころよく勘右衛門が先輩のお菓子を食べてその匂いを纏わせていたからです。
作中で勘右衛門が妙に幼くなっているのは、「六年生の制服を着ている先輩がいる=自分はいま三年生」という思い込みで少し退行しています。
それを崩したのは、もちろん夢主であるなまえですが、ここは別になまえでなくてもよかったのかもしれません。「三年生の勘右衛門」には「三年生の後輩」はいないので、「なまえを連れていく=自分は五年生=先輩は六年生ではない」となり、「あれ?」とおかしさに気付くことになります。

先輩の捜しものは成仏する方法です。
どうすればいいのか全く見当もつかず、学生時代に可愛がっていた後輩が変わらずにじゃれてきて先輩も嬉しかったんです。勘右衛門は五年の制服を着ていましたが、精神的に幼児退行しているためにふるまいが当時のまま。肉体を持たない先輩はその勘右衛門の態度に引きずられて度々「六年生の自分」に戻ってしまっています。
二人ともお互いに互いを混乱させているので、先輩は「成仏する方法を探している=死んでいる」ことと、「自分はいま六年生で三年生の勘右衛門がいる」ことがごっちゃになってしまっています。

その先輩がやっと見つけた探しもの、見つけてきたというか連れてきたのは勘右衛門でした。先輩の言うとおり、二人とも無意識に現状が可笑しいことであると気付いていて、勘右衛門はなまえをあの場所に連れてきました。なまえの力に触れることで、先輩は正しい道に気付くことが出来ました。
先輩の言った「おっきくなったなぁ」は、五年生の勘右衛門に向かって言った言葉です。なまえの力のおかげでようやく今の成長した勘右衛門の姿をはっきりと確かめることが出来ました。

最後のお団子は、なまえから勘右衛門へのせめてもの罪滅ぼしです。
なまえがあの場所に行くことを渋ったのは、やはりこうなる結果がなんとなく分かっていたからでしょう。勘右衛門が悲しむことが分かっていたから、下手な言い訳をして遠慮していました。
先輩が消えた時、本当はお団子も消えるはずでした。しかしなまえがそれをしっかり手に持っていたことで、形を保ち続けることが出来、勘右衛門に食べさせてあげられました。わんわん泣いてしまった勘右衛門にかける言葉は、幼く、普通の人とは感覚がズレているなまえには見つかりませんでした。

そういえば今更ですが、これは「隙間男」と並行して起こった話です。
勘右衛門はこの話は誰にもしません。泣いてしまったことが恥ずかしいというのもあるけれど、先輩との大切な思い出だから、兵助にも内緒にしておきます。
後日、勘右衛門手作りのお団子片手になまえに突撃、口止め料としてお団子を献上します。二人だけの秘密ね、なんておちゃらけながらおやつの時間です。
場所は、もちろん。


▼ おやつの時間
「探しもの」の続編と言うかおまけというか、多分、リクエストしてくださった方はほのぼの系を期待していたと思うので、短いですがせめてものお詫びにほのぼのを目指して書いてみました。
この話の中では完全に「六年生の先輩」と「三年生の勘右衛門」になって話しています。
勘右衛門から先輩への「好き」は、先輩としての好き以上恋愛としての好き未満という感じです。別に付き合いたいとかは考えていないけど、先輩後輩以上に好きで懐いていました。ちなみに勘右衛門の先輩ということは三郎の先輩でもあるのですが、幼い独占欲ガンガンの勘右衛門を見て三郎はそこそこ距離を取って接していました。仲は悪くないけど二人で何か話していると勘右衛門が割り込んでくる感じ。先輩と三郎は苦笑い。それすらも気に入らない幼き日の勘右衛門は絶対可愛い。


▼ 後書き
さてさていつも通り後出し満載のあとがきでした。いっそ開き直って本編書きながら「ここあとであとがきに書いておこう」とか思ってますすみません。今更ですがいらないって人はスルー推奨です。
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