夢小説 | ナノ




08:地獄への分かれ道

「兵助君、委員会行こ!」


初めてその言葉を聞いたとき、俺は比喩でも何でもなく眩暈がした。
何で園原が兵助を名前呼びしてるのか。そして兵助も特に嫌そうな様子は見られないのが不思議でならなかった。
絶句する俺とは対照的に、なまえはどこまでも冷静だった。


「名前で呼び合うようにしたの?」
「…うん、これから一年同じ委員会だし、いつまでも苗字呼びじゃ余所余所しいから」
「そっか」


なまえは一瞬だけ、園原を一瞥し、すぐに兵助に視線を戻して、


「仲が良いんだね」


と、にっこり笑って言った。
無言の兵助と、未だ回復の見込みがない俺、微笑み続けるなまえ。奇妙な三角形は、園原が再び兵助を呼びにくるまで続いた。




地獄への分かれ道
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