夢小説 | ナノ




03:贖罪

「まさか勘右衛門にこんなところで会えるなんて思ってなかったから、びっくりしちゃった」


カラオケの狭い部屋の中、向かい合ってソファに腰を降ろした彼女は、ぎこちなく笑った。
まさか高校見学でなまえに会うなんて。俺だって思ってもみなかった。
あんなに探し求めていたのに、いざ目の前に現れると何を言っていいのか分からずに黙ってしまう。何か喋らなくちゃ、思えば思うほど言葉が出てこない。


「勘、私のこと……まだ、怒ってる……?」
「――っ!」


か細い声で言われて、自分の不甲斐なさに怒りすら感じた。
俺は何を黙りこくってるんだ。
なまえに伝えるべきことが、山ほどあるじゃないか!


「なまえ、まずは、謝らせて欲しい。ごめん」
「え…」
「それで、少しだけ俺の話を聞いて欲しいんだ」


戸惑ったような表情をしているなまえの目をしっかりと見て、そう言った。



贖罪
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