夢小説 | ナノ
02:神の存在を信じますか?
兵助とは家が隣同士で幼なじみ。
ハチとは小学校で知りあった。
雷蔵と三郎には中学が同じだった。
なまえだけが、いない。
なまえは、被害者だった。
天女と名乗る刺客にただひとり惑わされず、必死に学園を守ろうとしてくれていた。
たった独りで、どんなに辛かっただろう。苦しかっただろう。
それなのに俺たちはなまえを労うどころか、天女の言い分を信じてなまえを学園から追放してしまった。
あの時のなまえの顔が、悲しそうな真っ白な顔が、忘れられない。
全てが終わった後、俺たちは持てる力をすべて使ってなまえを探したが、とうとう見つけることが出来なかった。
仲間が一人欠けたまま卒業し、就職して―――死んだ。
生まれ変わって記憶が戻ったときから、俺はずっとずっとなまえを探している。
探し出して、許して欲しいのか、それとも怒りにまかせて罵って欲しいのか。自分のことなのに分からない。それでも、どうしても、なまえに会いたい。
「なまえ…?」
振り向いたなまえは、俺と同じ希望高校の門にいて。
茫然とした表情をしていて。
「か、んえもん…?」
小さな体を震わせている、
小さな小さな女の子だった。
神の存在を信じますか?
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