夢小説 | ナノ
やまのかみさま
ゆめをみた。
山の中の小さな祠。
その祠の前に岩があって、そこにおじいさんが座っていた。
おじいさんは髪もおひげも真っ白で、とてもしんどそうにみえた。
足元に転がっている杖をおじいさんに渡してあげると、おじいさんはその杖でよいしょと立ち上がった。
おじいさんはすっと遠くを指さした。
その方向は、僕のだいすきな場所。あたたかくて優しい場所。
そこに向かって、黒いもやもやが少しずつ、少しずつ迫っていく。
やだやだやめて、そっちいっちゃだめ。
おじいさんの方をみると、おじいさんは悲しそうな顔をした。
『わたしにはもう、力が残っていない。私が消えればこの一帯はあれに侵される。――誰かが礎にならなければ』
おじいさんは優しい笑顔を浮かべて、
『――君にはその資格が、ある』
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