夢小説 | ナノ




親のスネかじり01

俺と兵助の出会いは、兵助が入学して初めて火薬委員会に参加した時まで遡る。
初めての後輩と言うことで可愛がってやろうとうきうきしていた俺は、どこまでもクールな反応を見せるイケメン兵助にメッタメタに打ちのめされた。
え? なんなの? 俺、鬱陶しい?
悲しみに耐えつつ少しだけ距離を置いて先輩としてあれこれ教えていたんだが、日に日に兵助の表情が曇っていってるような気がしないでもない。よく分からんかったが、一応先輩として何かあったのか聞いてみた。黙って首を横に振られた。返事すらしてもらえないとかwwwと草を生やすことで心の安寧を守りつつ、ちょこっと観察してみることにした。
すると、なんということでしょう。俺の可愛い後輩が上級生にイケナイコトされそうになっているではないでしょうか!これはアカン!と慌てて兵助と先輩方の間に割り込んで「何してるんですか!」と威嚇すると、先輩方が怯んだのは一瞬で、すぐにニタァとやらしい顔しながら「ちょうどいい、みょうじも一緒に可愛がってやるよ」とか言うもんだからさぁ!

俺は泣いたね。後輩の前で無様に泣き叫んで助けを乞うたね。
だって怖かったもん。
そしたらどこからかすっ飛んできた先輩方に救助されて保護された。
俺の実家というか一族は結構なお金持ちで、横の繋がりは勿論顔が広くて色んなコネがある。そして俺は本家の次男と言うことで、家を継がないまでも一応本家筋として大事に育てられてきた。
そんな俺はここ、忍術学園に入学する時に「息子をどうぞよろしくお願いしますね^^」という意味で寄付金をたんまり差し出している。さらに六年生の中で特別俺に良くしてくれた先輩は俺の親戚だったり、親が世話した場所に就職が決まっていたりする。
ってことで、俺に何かあると困る人いっぱい。なので悪戯した先輩方は迅速に処理されました。
いやー親の七光りってすごいねえ。俺の安定した人生の為にこれからも全力で親のスネをかじって生きていくつもりです。

幸い兵助はちょーっとお触りされた程度のようで大事には至ってなかった。
兵助の前で恥ずかしい姿を見せてしまったが、兵助が無事ならばその方が良いに決まっている。


「だから、別にあの日あの時あの場所で俺が泣き叫んだのは決して恥ずかしい過去ではない」
「そうか」
「そう!例えあの日以来、兵助が微妙に距離を取りつつ優しく接してくれたとしても!決して!悔いるべき過去なんかでは……!」
「元気出せよなまえ。お前は立派に後輩を守ったんだ。誇れよ」
「留三郎大好きいいいいい!」
「やめろきもい」
「なんだと」


別に悲しくなんかないやい。
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