「ここに居たのか」

「ひ…っ、日吉、くん」

「今のは悲鳴か、それともどもったのかどっちだ」

「も、もちろんぜ、後者だよ!」

「思いっきり前者って言いかけただろ」

「そんなことないです本当なんですごめんなさいごめんなさい」

「強制連行」

「ぎゃー!!」


私が色気の欠片もない悲鳴を上げたのは日吉くんが何の躊躇いもなく私の手を掴んだからだ。
うるさい、と日吉くんが眉を顰める。


「ひ、ひよ、ひよ!」

「ひよひようるさい。お前はひよこか」

「ごっ、ごめんなさい…」


再び言われた台詞に思わず謝ると日吉くんの眉間の皺が三割増しになった。
え、なんで。


「謝るな」

「はい?」

「逃げるな。怯えるな。叫ぶな。それと」

「え?え!?」

「…避けるな、頼むから」


俺がどうしたらいいか、分からなくなる。
零した日吉くんが私を見た。


「………日吉くん、顔真っ赤」

「…うるさい」


付き合って一日目



20091002
会う度に大騒ぎ
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