「…何やってるんですか」

「あ、日吉くんだー」


芥川さんを探しに来たら同じく三年生の名字先輩に引っ付いて寝てた。
正面から寄りかかるようにしてくっついてるから、背が同じくらいの二人はぴったり寄り添っているようで見ててすごく、すごくイライラする。


「ジローちゃん、起きなよ。日吉くんが来たよ」

「んー…?やだ、まだ名前と一緒に居たいC…」

「もう…ごめんね、日吉くん」

「………いえ」


名字先輩にすり寄る芥川さんはさながら猫のようだ。
いつもは「まだ寝たい」としか言わないのに、名字先輩と居ると芥川さんは寝言が変わる。
そんなことを考えていると、やっぱりイライラは募る一方で。
今度は俺が芥川さんを揺する。
起きない。
むちゃくちゃに揺する。
あ、目開けた。


「う、目が回るCー…」

「起きて下さい。跡部さんが呼んでますよ」

「うぅ、ん…おんぶー」

「嫌です」


小さい身体を無理矢理立たせて名字先輩から引き離した。
少しも迷惑には感じていない顔で、彼女は小さく笑っていた。


「ふふ、いつもお疲れ様」

「いえ、別に」

「でも、日吉くんはいつも不機嫌そうだもの。もしかしてやきもち?」

「はっ?」

「ジローちゃんと仲良くしたい、とか?」


小首を傾げてふんわり笑う名字先輩を見ていたらまたイライラしてきた。
「そんなことはないです。失礼します」とだけ言い残して足早に教室を出た。
なんでだ。
なんであの人は気付かない。
俺が毎日顔を合わせて、毎日挨拶をして、毎日目を向けるのはあの人だけなのに。
こんな面倒な役をやるのも馬鹿馬鹿しい嫉妬からだ。
本当にイライラする。
ああもう、気付けよバカ。


もどかしくて、でも好きで



20091025
ちょっとヘタレ日吉
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