「ちょーたろー、おめでとう!」 「わっ」 朝から嫌なものを見つけた。 あれだ、俗に言うバカップル。 校門前で飛びついたり飛びつかれたりと騒いでいる奴らを無視しようとしたら「あ、日吉〜!」と呼び止められた。 気の抜けた声といい腹の立つ笑顔といい、こいつらは互いによく似ている。 「…なんだよ」 「日吉っていつも返事が遅いね。耳が遠いの?」 「えっ、それは良くないよ日吉!テニスに支障が出たりしたら大変だよ!」 「(うざい)」 手を繋ぎながらにこにことおどおどの二人が俺に寄ってくる。 面倒臭くなったので先刻名字が叫んでいた話題を振ることにした。 「そういえば、誕生日だったか」 「え、うん」 「また一つ年を取ったんだな、おめでとう。俺の年齢に追いつかれたか、ちっ」 「日吉日吉、本音がだだ漏れだよ」 「よ、喜んでいいのかな…」 「いいんだよー」 へらへら笑って鳳の肩を叩く名字は結構な強者だ。 鳳はともかく、俺や樺地とも付き合える奴なんてなかなか居ない。 「誕生日、おめでとう…」 「あっ、樺地だ!わーい!」 「ちょっ…名前!」 噂をすれば何とやら。 樺地を見つけるなり飛びついた名字に鳳が慌てている。 いつものことなんだから慣れればいいものを。 「日吉、日吉!」 「名字、いちいち人の名前を叫ぶなと何度言ったら………なんだよ、その手は」 「日吉も一緒に部室行こう?」 右腕で樺地と鳳の腕を捕まえている名字が満面の笑みで左手を差し出してきた。 お前ら、そのまま歩くとこけるぞ。名字が。 「チビなお前が俺達三人を引っ張って歩くのは無理があるだろ」 「いいじゃん。折角だから四人で行きたいし」 「…仕方ないな」 溜め息を吐くと、鳳も樺地も苦笑いをしていた。 こんなに幸せそうな苦笑は、初めて見た気がする。 タイム・オブ・フレンズ 「お、長太郎!やっと来たか!」 「みんなで数珠繋ぎ〜?すっげー面白そう!」 「てめぇら…今日の部活は鳳の誕生会だ!」 「えっ」 「まあ、跡部さんのことだし、大体想像はしてたけどな…」 「ウス」 20100214 四人で横一列に手を繋ぎました ヒロインとレギュラーは休日部活 |