▼ 4話
「私今日から一週間出かけるからこれでご飯かって食べててよ」
渡されたのは0が4つのお札。
これまでもよくあったことだったし、家にお母さんがいないのは慣れている。
お父さんにはあったことがない。
お母さんはお父さんは馬鹿だったから殺されたんだと言っていた。
「…分かった」
ちゃんということを聞いていればお母さんは怒らないし痛いこともしない。
玄関から出ていく綺麗な背中を見送り布団に潜り込む。
明日は学校がお休みだけど先生のところに行かなくちゃいけない。
もう時計の短い針が1のところを指している。
とっても眠い。
けど少し怖い。
(学校で怖い話なんか聞くんじゃなかった…)
怖いのを紛らわすようにぎゅっと布団をつかんで僕は眠りについた。
「今日もお母さんお家にいないのか?」
先生が僕を膝の上に乗せながら聞く。
「…うん」
1年くらい前にお母さんがいなかった時コンビニに行ったら先生にあった。
僕の話を聞いた先生は僕を先生のお家に連れていってご飯を食べさせてくれた。
その後一緒にお風呂に入って一緒に寝てくれた。
それから先生は土日にお母さんがいないことを知りお休みの日は僕をうちに呼んだ。
お母さんが長くお出かけする時もお家に止めてくれた。
「今回は何日だい?」
僕のくせっ毛を梳かしながら先生がいう。
耳の近くで聞こえる声はくすぐったかった。
「一週間」
先生は先生になって2年目の若い先生だから僕のことを弟みたいだと思ってくれているのだろう。
「可哀想に」と呟いて抱きしめてくれる。
先生のお家に来たらお昼間は先生のお手伝いをする。
プリントを綺麗にまとめてファイルに入れる。
上手に出来ても上手くいかなくても先生は褒めてくれる。
いい先生だなぁと僕はいつも思う。
だって血の繋がってないただの生徒にここまでしてくれるんだから。
最近先生は怖い夢を見ずに眠れる魔法を僕にかけてくれる。
それはお風呂での時もあるし、ベッドでの時もある。
僕のおちんちんと先生のおちんちんをすりすりするのだ。
それをすると頭がふわふわして気持ちよくなる。
最初は先生のうめき声とおちんちんがおかしくなるのが怖くて泣いてしまったけど、先生が「それは魔法が上手にかかっている証なんだよ」と教えてくれたから怖くなくなった。
「山田、お風呂に入ろう。」
ご飯を食べ終わった僕に優しく声をかけてくれる先生に抱き上げられお風呂場に行く。
自分で出来るのに先生は僕の服を脱がして、頭も体も全部洗ってくれる。
お返しに僕も先生の体を洗ってあげると先生は嬉しそうな顔をしてくれる。
それに魔法にかかった時みたいにおちんちんがおっきくなって固くなる。
今日はそれが面白くて先生がいつもやってるみたいにすりすりしてたら先っぽから白いおしっこが出てびっくりした。
「山田、湯船のヘリに手をついて、お尻こっちにつきだして。」
先生言う通りにする。
恥ずかしいけど先生は僕に魔法をかけてくれるだけだから我慢できた。
いつもと違って太ももの隙間におちんちんを挟まれた。
僕のたまたまに先生の毛が当たってチクチクするけど嫌じゃない。
頭がふわふわして気持ちがいい。
このまま眠ってしまっても先生は怒らない。
また白いおしっこを出した先生に寄りかかって僕は眠りについた。
ずいぶん昔の夢を見た。
あれはお母さんがいなくなった頃の夢だった。
性交というものを知らない、まだ精通もしていない子供に欲情する変態教師だったと今ならわかる。
(まぁ、僕もたいがいだけどな…)
10歳で精通して11歳で男を知った。
精通が普通の子より早かったのは先生に弄られていたのが原因だ。
最初の男は僕らの組織と対抗している組織の幹部だった。
子供だからと警戒せずベラベラと機密情報を喋ってくれた。
初めて人を殺したのもその時だ。
眠ってしまった男に組織から渡された薬を注射した。
体内から検出されない特殊な薬だとベルモットが言っていた。
人は意外と簡単に死ぬ。
ボスに拾われてから学んだことの一つだ。
(僕は誰かに殺されるのかな…それとも病気とかかな?)
らしくないことを考えてしまう。
真っ白な天井を見ていた顔を横に向ける。
隣にはベルモットが眠っている。
(綺麗な寝顔だな…)
彼女とは体の関係はない。
それでもこうして一緒に眠るのは僕がまだ子供に見られているからだ。
今年で20歳なのに未だ中学生に間違われる。
ハニートラップを専門とする僕にとってこの幼すぎる容姿は最大の武器となっているのだが、この顔のせいでよく馬鹿にされるのもまた事実だ。
それにいつまでもこのままでいられるわけがない。
重力に縛られている人間は年をとる共に老化していく。
ハニートラップができなくなると僕に仕事はなくなる。
という事は僕の居場所がなくなるということだ。
それが嫌で何度もベルモットに若さを保つ秘密を聞いているのだが一向に口を割ってはくれない。
(ベルモットと賭けをするか…)
交換条件でも教えてくれなかった彼女だがもしかすると賭けなら乗ってくれるかもしれない。
どんな賭けがいいだろう。
自分に利があるものがいい。
ベルモットを見つめたままスティンガーは考える。
彼女は隣にいるのが僕だから安心しているのか起きる気配はない。
(誰かを落として咲きにヤッた方が勝ちとか?でも、誰を…)
勝負するなら自分の十八番がいいと思い思い当たる男を思い浮かべる。
(ジンはすでにセフレだし、コルンとかウォッカは絶対やだ。あとは…)
その時ふと今度任務を一緒にすることになった男を思い出した。
(バーボン…あいつなら顔もいいしベルモットともそういう関係じゃない。)
ターゲットは決まった。
あとはベルモットが乗ってくれるかが問題だ。
オネダリの仕方は仕込まれている。
(それがベルモットに通用するかは別だけど…)
自分にその仕草を仕込んだ本人にそれをするのは些かハードルが高い。
それでも今回は成功させなければいけない。
いらない子にならないために…
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