21話


飛んでくる赤い液体。

恐怖を貼り付けたまま、目を見開き歯をむきだしにしたまま崩れ落ちる男達。

軌道は読めるから弾を当てられるなんてヘマはしない。

いつになく冷静な頭で1人ずつどうすれば効率よく殺れるかを考える。

その間も体は動き一人、また一人と倒れていく。

(たのしい…)

訓練の時と違うのは不愉快な生暖かい液体が飛んでくることだけだ。

弾が足りないのは分かっていたから接近した時に相手のものを奪う。

手になじまないものでも扱えるように訓練はしている。

奪った銃は僕のM686よりも威力が強く命中した男は吹っ飛んだ。

その分反動もすごいが体制を崩さなければ肩が外れることもない。

この組織の構成員がこれだけなのは自ら仕入れた情報で確認済みだ。

最後の一人の脳天を打ち抜き、余った弾は全てハニートラップに引っかかってくれた男に撃ち込んでやった。

用済みの銃を捨てるとそうこの外にエンジン音。

聞き覚えのある二つの音はバーボンとジンのものだ。

(遅い、もう終わったよ…)

転がる屍をしばらく見ているとジン、ウォッカ、ベルモット、バーボンが入ってきた。

「…遅いです、死にかけた」

傷一つ無い身体で嫌味を言ってやる。

ジンに鼻で笑われたが気にしない。

ジンとベルモットと2.3会話を交わした後、自分の銃を受け取りしばらく顔を合わせていなかった男を見る。

気まずさとベルモットからの忠告もあり一ヶ月ほど距離を置いていたのだ。

いや、正確には置かれていた、か…

(…びっくりしてる)

バーボンは知らないはずだ。

自分がこれだけ銃を使えることを。

目を逸らしジンの車に乗り込む。

血がつくと文句を言われたが手柄を上げたのだ、これくらい大目に見て欲しい。

傷一つ無いのに真っ赤な血で汚れた体。

僕にはこれが似合っている。

そう思った。


  
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テーマ「人外ファンタジー」
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