▼ 18話
風邪を引いた。
肌寒いのにソファーで眠ったせいだというのは分かっていた。
「…ベルモット、しんどい、」
ベルモットの部屋に転がり込みベッドを占領する。
「体調管理くらい自分でしなさい」
そういいながらも飲み物を差し出してくれるあたり大外ベルモットも僕に甘い。
差し出された水を飲み礼を言う。
「そういえば、スティンガー。あなた最近バーボンと仲いいらしいじゃない」
「うん、ベルモットより一歩リードだよ」
少し険しい顔をしてからベルモットが口を開く。
「…あまり派手な行動はしないことね、ジンがバーボンのこと疑ってるから」
知っている。
本人に聞いたから…
「…大丈夫、バーボンは裏切らない」
ジプシーがNOCだと分かった時僕はお仕置きを受けた。
NOCだと判明する前に自分が仕入れた情報をいろいろ言ってしまっていたからだ。
同じようなことにならないようにジンもベルモットも僕に忠告しているのだ。
情報を漏らすな≠ニ、
「…眠い」
飲んだ薬が聞いてきたのか急に眠気が襲ってきた。
「寝なさい、寝たら治るわ」
僕の額にキスを落としたベルモットは部屋から出ていった。
その背中が見えなくなった時僕の瞼も閉じた。
「おや、今日はスティンガーいないんですか?」
車に乗り込んできたのはベルモット1人だった。
「ええ、風邪で寝込んでいるわ」
タバコに火をつけ呆れた声で言う。
2日前、お互い思い違いに気づいた後、なんとなく気まずくなってしまい俺はそのまま彼の家を出た。
「そうですか」
気になりながらも素っ気なく返す。
「最近仲がいいわね。何かやってるの?」
下がるような視線が向けられる。
「なにか、とは?」
「さぁ、それを聞いているんじゃない」
恐らく寝たかどうかどうかと言う意味かなにかを探っているのかと言うことのどちらかだろうがこういう質問は流して置いたほうがいい。
「ですよね」
「気をつけなさい、ジンがあなたを疑ってる。スティンガーのこともね。痛い目にあうのはあなただけじゃないんだから」
遠回しにスティンガーを危険な目に遭わすなと言っているのだろう。
「えぇ、肝に銘じておきます」
確かに仲良くしすぎた感はある。
2人して疑われてはなんの得もない。
(せっかくの重要な情報網だ。無くすのはもったいない)
しばらく距離を置こうと思った。
国と情報と彼のために…
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