16話


疲れて眠ったバーボンの拘束と目隠しを解く。

何回イったかなんて数えていないが正直かなりキツかった。

でも、薬をもられたバーボンの方が辛いのがわかっているから頑張れた。

風呂に入り全身くまなく洗う。

いつかジンに抱き潰された時してもらったようにバーボンの体を絞ったタオルで清める。

(綺麗な体…着痩せしてるからわからなかったけど綺麗な筋肉がついてる)

割れた腹筋に指を這わす。

ゴツゴツした筋肉ではなくしなやかな綺麗な筋肉。

残滓や汗をぬぐい終わったあとバスローブを着せる。

僕には少し大きいサイズのそれはぴったりだった。

(それにしても、すごい精神力だな…)

辛かっただろうにバーボンは自分から腰を打ち付けることは無かった。

自分の体には自信があった。

普通の男なら自ら貪りついてくるだろう。

バーボンは達してはいたが何もしてこなかった。

それは最後の抵抗、拒絶だったのだろう。

(…バーボンにとって僕はそういう対象じゃない、)

いや、そもそもバーボンはノーマルなのだ。

任務でも、男と交わることは無い。

生理現象には抗えないようだったが、本当にバーボンは嫌がっているようだった。

じゃなけりゃ動かないはずがない。

(…嫌われた、かな)

誰彼構わず足を開く貞操なしだと思われたかもしれない。

現に任務ならどんな相手にだって抱かれている。

バーボンに愚痴っていた通り好きでやっているのではないのだ。

だが、それを信じてもらえるかは別問題だ。

嫌われるという事はいらない子になるということ。

捨てられるということ…

悲しくなったが自分が招いた結果だ。

元はといえばターゲットを僕が落とせなかったのが悪い。

自業自得だ。

そう思うと一気に疲れがやってきた。

(…もう寝よう)

この家にいる時はベッドが大きいこともあり2人で寝ていた。

(でも、バーボンは朝起きてすぐ僕の顔なんて見たくないだろうな…)

部屋の空調をセットし直して寝室から出る。

まだ冬の始めだ。

少し肌寒いがタオルケットに包まれば大丈夫だろうと思い、リビングのソファーに寝転んだ。

「ん…」

目を開けるともう見慣れてきた天井。

いつもと違い隣りにぬくもりがないのと腰に重い怠さを感じる。

記憶が呼び覚まされ機能の自分の失態を思い出す。

(…スティンガーに嫌なことをさせてしまった)

優しい少年は苦しんでいる自分を見て助けようとしてくれたのだろう。

あれほど嫌だと言っていた行為をしてくれた。

おかげで自分の体は少しだるいものの元に戻っている。

(…スティンガーは、もう起きたのか?)

だが、隣で何か動く気配があれば自分は起きるはずだ。

それがなかったという事は…

(ベッドで寝なかった?)

自分嫌な行為をした相手だ。

嫌われてしまったかもしれない。

「参ったな…」

彼はいい情報提供者だった。

嫌われてしまえばこれから情報は貰えないだろう。

それに…

(スティンガーは他の組織の人間と違って安心できる相手だった)

敵相手に安心なんてどうかと思うが、実際彼といる時は本当の自分が出ていた気もする。

カチャ

「っ、」

ドアの向こうで物音がした。

(スティンガー?)

もしかしたらまだ部屋にいるかもしれない。

「…スティンガー」

無理かもしれないが一度謝ってみようと思った。



  
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テーマ「人外ファンタジー」
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