「別れてほしいんや」

何日…いや何週間ぶりかな。久しぶりに金造に呼び出されて別れてほしいと言われた。薄々感付いてたよ?それだけ、あなたとの距離は離れていた。

近々ライヴがあるからその練習でしばらく会えない。
祓魔師の仕事でしばらく帰ってこれない。
"会いたい"ってメールを打っては消して、打っては消しての繰り返し。
今メールを送ったら金造の迷惑かな、あとにしよう。なんて思ってた時から、きっと結末は決まってたんだね。

『いいよ。今までありがと。じゃあね』

それだけ言って、金造に背を向け歩き出す。
言いたいことはたくさんあった。

目に隈作るまでボイトレしてたんでしょ?
ちゃんと寝なよ?
顔色悪いけどちゃんと栄養摂ってる?

だけど、私はもうそんなこと言える立場じゃないから。

『さよなら』





数週間ぶりに会った彼女に、別れて欲しいと告げた。
ライヴに向けた練習や祓魔師の仕事で彼女と会う時間がなかなかとれなかったんや。
時計も気にせんで練習に明け暮れて、気付いたら真夜中。せめて"おはよう"と"おやすみ"のメールぐらい送ろうと思っとった。せやけどアイツが寝る時間はとっくに過ぎとるし、アイツが起きる時間まで起きていられる自信もない。

結局メールを送れないまま1日がすぎる。

着信ボックスを開いても、アイツからのメールはなし。こんな連絡もしいひん彼氏、見限られたんやろか…

『いいよ。今までありがと。じゃあね』

そう言って彼女は背を向けて歩き出した。

『さよなら』



「(今さら後悔したってあかんのに)」

――何がいけなかったんだろう…

『(あー…覚悟はしてたんだけどなぁ)』

ポタ、と地面にいくつかの何かがシミを作る。


こぼれたのは多分、涙


Shall we dance,Juliet?様に提出。