不器用な馬鹿




気性が荒くて、言葉遣いも荒くて、とにかく雑な奴。
そんな問題児が私の彼氏です。





「おい、名前」
「なに?」
「顔貸せ」
「?こう?」


バッチーン!!


「いったあ!!」
「?」
「ちょっ…なにすんの!」
「おかしいな…」
「ナイン!!」




ナインは私の言葉なんか耳に入っていないようで、頭にはてなマークをたくさん浮かべたままどこかに行ってしまった。

正直はてなマークを浮かべたいのはこっちの方だ。
いきなり彼氏にぶたれたんだから。




「…なんなのよ」




でもナインの不思議な行動はこれで終わりではなかった。




「おいコラ名前」
「…なに?」
「手ぇ出せ」
「今度はなにを…」


ぎゅっ


「っいったい!
ちょ、ナイン力強すぎ!」
「?なんなんだ?」
「いや私のがなんなんだだから!」




また次の日も。




「見てナイン!可愛い花!」
「おう」
「?」
「…」


わしゃわしゃ


「え、ナイン!?」


わしゃわしゃわしゃわしゃ


「ナ、イン!ちょ、髪ぐしゃぐしゃなる!絡まってるから!」
「嬉しいかコラ」
「なにが!?どこが!?髪の毛ぐしゃぐしゃにされて嬉しい人なんかいないよ!」
「?」




…本当になんなんだってくらい変な行動ばかりしてくる。
しかも全部謝りもしないでただ頭にはてなマークを浮かべてどこかに行ってしまうんだ。
迷惑極まりない。




「おい名前」
「……」
「無視してんじゃねえよオイ」
「…なに」
「顔貸せ」
「絶対嫌!」
「?なに怒ってんだよ」
「なにって、今までこう言われて良いことなんてなかったし!
また頬ぶつんでしょ!?」
「なに言ってんだコラ」
「もういいよ!」
「いいからこっち向け」
「やだ!」
「じゃあ無理やりでも向かせんぞ」
「やれるもんなら…っ」




一瞬の出来事だった。
気づいたらナインの顔が目の前にあって、唇には温かいものが重なっていて、
触れるだけのそれはすぐに離れていった。




「え…」
「どうだ、嬉しいかよ」
「嬉し…え?」
「顔真っ赤だな」
「…ナインこそ」
「!?
お、俺のは赤いもん食い過ぎただけだコラァ!」
「赤いもの食べ過ぎてもそうはならないよ」
「そ、そうなのか!?」
「……」




一瞬ナインの顔が大人っぽく見えたけど、
やっぱりいつも通りの馬鹿なナインだった。
さっきの色気はどこへいったんだか。




「…で、嬉しかったのか」
「さっきからなんなの、その嬉しいって?」
「…いや…」
「ナインの机の上にあるあの本が関係してる?」
「!やっべぇ!」




…馬鹿すぎて逆に可愛く思えてきた。

ナインが慌てて隠そうとするのよりも早くその本に手を伸ばすと
やっぱりナインに奪われるよりも早く本の表紙を見た。




「えっと、"彼女の…"」
「返せコラァ!!」
「"彼女の心を掴む彼氏の行動"…?」




こんな本が世の中に出回っていたのかということにも驚いたけど
それ以上にナインがこんなものを読んでいたということに驚いた。




「ナイン、もしかして…」
「…んだよ」
「私のこと、相当好き?」
「なっ…
んなわけ、ねえだろ!!」




そういうナインの顔はまた真っ赤だ。
キスしたときと同じくらい。

…もしかして、
頬をぶったのはただ頬に触れようとしただけで、
手を力いっぱい握ったのも手を繋ごうとしてくれて、
髪をぐしゃぐしゃにしたのも本当は撫でたかっただけなのかもしれない。
全部雑すぎてただの嫌がらせにしかならなかったけど。




「…可愛いなあ、ナインは」
「あぁ?馬鹿にしてんのか」
「まあ、馬鹿だよね」
「んだとコラァ!」




そんな馬鹿なところが、好きなんだけどね。




不器用な馬鹿

(不器用で馬鹿な問題児は私の自慢の彼氏)



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初零式!
口調わからないです(^p^)
コラァとか言っとけばいいかなってノリで書きました笑
とりあえず、ゲームやって勉強します(´-ω-`)

御拝読感謝!
20120916 どんぐり





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