幽霊のそれ




私には苦手なものがあります。
気持ちの悪い虫より、ピーマンより苦手なもの。




「…名前さん」
「わああああ!!」




私の苦手なもの、幽霊。





「そんなに驚かないでください」
「じゃあ驚かさないでよ!」
「そんなことを言われても困ります」




私の彼氏、テツくんはものすごく影が薄い。
それはもうデート中に横にいたのにいつの間にか見失うくらい。
私はその影の薄さに困らされてるんだ。




「あのねテツくん、ひとつだけお願い」
「なんですか?」
「存在感を醸し出して」
「無理です」
「派手な服着て」
「嫌です」
「とにかく、背後に立たないで」
「ひとつじゃないじゃないですか」

「もうっ、私が幽霊苦手なの知ってるでしょ!?」




テツくんの存在感のなさと幽霊のそれは似たようなもので、
背後に立たれて名前を呼ばれたときなんか、本当に背筋がぞっとする。
いや、すごく失礼なのはわかってるんだけど。
気絶するかと思うくらいびっくりするんだ。




「そんなことを言われても困ります」




テツくんはさっきと同じ言葉と同時に、本当に困ったような顔をした。
それもそうだ。
影を薄くしたくてしているわけじゃない。

少し申し訳なく思っていると、突然テツくんが「あ、」となにか思いついたような声をあげた。
そしていきなり私の手を取った。




「手を繋いでれば見失うこともないですし、名前さんが驚くこともないじゃないですか」

「っ!、!?」




名案でしょうとでもいいたげな輝かしい表情。
…これが天然だから、たちが悪い。




幽霊のそれ

(もう違う意味で気絶寸前)



+--+--+--+--+--+--+--+


初黒子です!\(^^)/
なかなか楽しくてぱぱっと書けちゃいました(^p^)
黒バスのキャラは口調がわかりやすくていいですね!
〜っスとかなのだよとか(笑)
またこいつら↑も書きたいな!

御拝読感謝!
20120916 どんぐり





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